2次試験対策

スピーキングの壁

さて、とりあえず2次試験のリサーチをしてスピーキングの練習をすることになったのですが、昭和生まれ、留学経験もない純ジャパニーズの私は、スピーキングにかなり抵抗がありました。

英語講師だったら話せるんじゃないの?

ヘタレ時代の私
ヘタレ時代の私

簡単な意思疎通ぐらいならできますが、流暢にペラペラと話すレベルというのは、英語を教えているからといってなれるものではありません。

だから私も怖かったんですよ!!笑

今でこそ英検1級の学習のおかげで、ある程度英語を話せるようになりましたが、この時はとにかく英語を話す恐怖が先行していました。

私がスピーキングをするに当たって感じていた壁はおおよそ以下の通りです。

①「自分が英語を話す」ということの違和感

英語を生業とはしているものの、日本で生まれ育ち、英語を「意志伝達ツール」ではなく問題を解くための「分析対象」として見てきた私にとって、「英語を話す」というのは、できもしないモノマネを強要されるような感覚でした。

②「自分の英語が通じるのか?」という不安感

これも長年英語を「分析対象」としてしか見てこなかった弊害ですが、自分の口から発する英語が意味をなす文なのかがまず不安でした。発音には多少自信がありましたが、イントネーションの違いや一般的に使わない表現を口にしないか、など考え出したらキリがないほど不安要素が出てきました。

④「相手の言うことが聞き取れるのか?」という恐怖

これは正に私のような昭和生まれの純ジャパが最も悩むところかもしれません。私が受験生だった時代は、まだセンター試験でリスニングが課されていなかったので、私は英語講師になるまで「リスニング対策」なるものをしたことがありませんでした。TOEICを受験し始めてから自分はリスニングが弱いことは分かっていたのでここ5年ぐらいは毎日英語を聞くようにしていますが、それでもまだまだ聞き取れないときもあって、不安が拭えませんでした。

⑤「とっさに英文を作り口にできるか?」という焦り

一応英語講師なので、ライティングすれば正しい英文は書けます。自分の脳内で英会話することもできます。でも、英文を構築するのに時間がかかるんです。そんな状態ではリアルな「会話」なんてできるわけがない。そうした焦りもスピーキングへの大きな壁でした。

なんだ、英語の先生って言っても普通の日本人と大して変わらないじゃん。

そうですね。日本の英語講師のほとんどが英語を話せないというのは音楽で喩えると、「様々な楽曲、音楽理論や楽器の仕組みなどは事細かに知っていても、実際に楽器を弾くことはできない」というのと似ています。楽器の演奏と同じで、実際に話す練習を普段からしていなければ、英語講師とて話せるようにはなりません。

初めてのオンライン英会話

かなりスピーキングには抵抗があった訳ですが、「実戦に勝るものなし!」ということで、オンライン英会話の無料体験をいくつか始めてみました。

私が試してみたのは

Native Camp

English Central

Value English

の3つです。

Camblyもダウンロードしましたが、「15分間とは言えフリートークはハードルが高すぎる!」と思い、結局使わず仕舞いでした。

Native CampとEnglish Centralでレベルチェック・テストというのを受けたところ、どちらも「中の上」レベルという判定をもらいました。返答に多少時間がかかる場面はあったものの、個人的な質問ばかりだったので自分の言いたいことは伝えることができ、「結構いけるかもしれない!」とこの時は思いました。

しかし、唯一「英検1級面接対策講座」を開講していたValue Englishで体験したところ…ボコボコにされました。

Value Englishでは、実際の英検1級の模擬形式だったのですが、トピック5題のうち「これはいけそうだ」と思ったトピックを選んだものの、自分の意見を表現する適切な英語が出てこなかったため、ほぼ「ア〜」とか「ウ〜」とか言いながら2分が終わってしまいました。

担当講師は非常に優しい方だったのですが、私が本当に打ちのめされたのは、

“I have something I want to say, but I can’t come up with correct words to express it in English.”(言いたいことはあるんですけど、英語で何て言っていいか分からないんですよね)

と私が言ったときに、講師はお構いなしに「英検1級のトピックに対する意見の出し方」を話し続けておられたことでした。

私は、「すでに意見はあるんだけど、それを英語で表現するのに苦労する」という趣旨で言ったのですが、おそらく講師の方は「トピックに対する意見を出せない」と言っているのだと解釈したと思われます。

これは私の英語がうまく伝わらなかったからだとは思いますが、その時は「英語は意思伝達ツールなんだから、話せるのは当たり前。意見があるのならそれを英語で表現できるのは当然でしょ。それが出てこないのは意見がないからだ」というメッセージを暗に受け取りました。

私が感じていた「スピーキングの壁」がどれほどツマラナイコトなのか、「英語が話せない」というのはグローバルな視点から言えば「アリエナイコト」なのだということ、そして「英語が話せない」と悩んでいた自分がどれほど小さな世界で住んでいたのかを思い知った瞬間でした。

こうして自分の立ち位置が分かった私は、本格的な2次試験対策を始めました。

スピーチ対策

英検1級2次試験の最大の難関と言えば、何と言っても2分間スピーチです。

当日与えられる5つのトピックから1つ選び、即興で2分間スピーチをしなければなりません。もちろん英語でですよ笑

ライティングと同じで、

Introduction(序論)→Main Body(本論)→Conclusion(結論)

という構成を取るのが一般的です。

特にこの構成でなくても大丈夫だと言われますが、よほどスピーキングに慣れている人でない限り、ある程度“型(テンプレート)”に沿っておいた方が本番も安心できます。

即興で2分間スピーチって…。トピックは当日まで分からないんですよね?しかも社会問題とかでしょ?日本語でスピーチするのも難しいのに。ハードル高すぎ…。

本当にハードル高いですよね。しかもスピーチの後には質疑応答もありますから、とにかくスピーチができないと何も始まらないんです。だからしっかりと準備ができていないと、何も話せず沈黙で終わる場合もあるわけです。

スピーチ原稿の作成

「とにかくスピーチができるようにならなければならない!でも英語なんてまともに話したことがない!」

そんな私が取った作戦は以下の通りです。

そもそもとっさに英文を口から出せないのが最大の問題だったので、まずは原稿作成から始めました。ライティングなら落ち着いて正確な英文が書けますし、まずはそれを暗唱しようと思いました。

スピーチは暗唱しても、そのトピックがずばり出なきゃ使い物にならないから、あまり意味がないんじゃ?

もちろんその通りです。でも、英語を話したこともない私からすると、自分の意見をある程度まとまった形で口から出す練習をする必要があったのです。

確かに、スピーチまるまるを暗唱してもそのままは使えないと思います。

しかし、一つのトピックに対して提示する意見(Main Body)は複数個存在する訳で、その一つ一つのピースは組み合わせ次第で色んなお題に使えたりするんですよね。

感覚としては、

「ファッションが全く分からない人がマネキン買いをいくつかした上で、トップスやボトムスといったそれぞれのアイテムを組み合わせて、別のコーディネートを作る」

といった感じです。

英検1級2次試験面接のスピーチで渡されるトピックは5題。そのうち自分の得意な分野のトピックに関してスピーチする訳ですが、全ての分野に対応する必要はないので、自分の得意な分野を3つ〜5つほど絞って、それぞれの分野に関して複数の原稿を作成・暗唱する、という作戦に出ました。

最終的に、分野としては

「政治」「教育」「家族」「科学」

の4つに絞りました。

「政治」はどちらかと言うと苦手な分野でしたが、最も出題頻度が高いので、保険で押さえておきました。

私の場合、もちろん「教育」を得意分野として選んだ訳ですが、「教育」って結構他の分野ともつながっていくんですよね。

たとえば、

「教育」+「家族」=「学校教育をやめ自宅学習を推進すべきか」

「教育」+「科学」=「子供にネット利用をどこまで許すべきか」

といった具合です。

なので、2分間のスピーチを組み立てやすい、ということもさることながら、そのトピックに関する質疑応答にも広げて行きやすい、という利点がありました。

そんなこんなで用意した原稿は、全部で30本になりました。

30本全部暗唱できるようにしましたが、実際は「トピックは違ってもBodyが一部同じ」という原稿が複数あります。

原稿を作成する過程で、「あれ?このトピックなら、さっき使ったボディも入れられるな」といった具合で、かなりアドリブが効くことが分かってきました。

即興スピーチ練習

私の場合、とにかく「英語を口から出す」という経験が圧倒的に足りていなかったので、スピーチ原稿の暗唱だけでは質疑応答に対応できないという不安がありました。

そうした状況を察した妻がある提案をしてくれました。

「妻が即興でお題を出し、それについて英語で説明する」

という練習です。

これは、とにかく英語を口から出す、英語脳で思考する、瞬発力を上げる、という練習ができるという点で、質疑応答対策に非常に有効であると感じました。

ということで、妻が面接官になって模擬面接をするという練習を毎日しました。

はじめは私が暗唱していた原稿のトピックを妻がランダムで選び、私が2分間でスピーチをするという練習。

それが終わった後に、妻からの即興質問がありました。

「ドラえもんについて説明してください」

「アンパンマンについて説明してください」

「桃太郎について説明してください」

といったものでしたが、後々考えるとこれが中々役に立ちました。

「自分がもともと知っている情報を即興で英語で説明する」というのは、自分の意見を瞬発的に英語にする必要がある質疑応答に正に打ってつけでした。

また、「説明しなさい」というお題だと、職業柄「説明する順番」も考えるので、論理的思考を鍛える意味でも有効だったと思います。

面接対策オンライン英会話

いくつか体験したオンライン英会話ですが、結局Value Englishで講座申し込みをしました。

「英検1級面接対策講座」を開講しているところが他になかったことと、Value Englishは担任制で講師が変わらないということが選ぶ決め手となりました。

私はもちろん、私に自身の矮小さを優しく教えてくれたあの講師を指名しました。

2週間の間に4回ほど講座を受講しましたが、原稿暗唱と即興スピーチ練習のおかげで日に日に上達を感じられました。

初めてのスピーチでは2分間唸っていただけでしたが、慣れてくると2分以内にちゃんと「Introduction→Body×2→Conclusion」でスピーチできるようになりました。

また、複数の原稿暗唱をしたことで、英語で表現できる意見を多数持てるようになっていたので、質疑応答にも対応できるようになりました。

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