【読解の技術①】品詞のはたらき

英語学習法

どうも、You先生です。

この記事から英文読解の技術を更新していきたいと思います。文法学習だけではカバーしきれない、文法知識の活用法や英文解釈のコツを共有いたします。

品詞は英語学習の根幹をなす非常に重要な知識です。

「品詞なんか分からなくても英文は読める!」という意見もありますが、4技能を効率よく短時間でかつ確実に向上させるためには、品詞の概念は必須の知識です。

また、品詞をしっかりと身につければ、読解などで少々分からない単語が出てきても、英文構造を元にかなりの精度で推測できるようになってきます。

品詞を全て一気に覚えるのは大変ですので、学習の過程で何度も見直してもらって結構です。
はじめは意味が分からなくても、文法学習をしていくうちに結局全てがこの品詞に集約されるということが実感できるでしょう。

品詞の理解はそもそも必要か

先生!品詞の知識って必要ですか?
正直かったるいんですが。

気持ちはものすごく分かります。
私自身も受験生だった遠い昔、「品詞の概念って必要かな?」と思っていました。
でも、品詞は英語学習の全ての根幹なので、身につけると英語力が飛躍的に向上すること間違いなしです。

ネイティブスピーカーは確かに品詞を意識していないでしょう。
それは我々日本人が日本語の品詞を普段意識していないのと同様です。

しかし、特に自身で言葉をアウトプットしようとするとき、必ず品詞の概念が根底にあります。

例えば日本語で

「私は昨日美味しいを食べました」

とは絶対に言わないはずです。

なぜなら、「美味しい」とは形容詞であって、「食べる」という動詞の目的語にはなり得ないということを理屈ではなく感覚で知っているからです。

英語でも同様です。
ネイティブ・スピーカーは生まれてからずっと普段の生活で英語を聞き、話し、読み、書いてきたという経験があるから、品詞という概念を知らなくても正しく英語を運用できるのです。

しかし、我々日本人はネイティブ・スピーカーがしてきた言語体験を同じように再現することはまず不可能です。

そこで、文法理論を持って英語という言語を品詞という概念で分類し、母国語の概念とも関連づけながら理解していくのです。なぜならその方が圧倒的に速いからです。

品詞の概念は初めは退屈に感じるかもしれませんが、一旦身につけると思っている以上に色んな場面で活用することができる万能な武器になることが分かるはずです。

さらなるステップアップのために、一度しっかり腰を据えて品詞の学習を始めてみましょう。

名詞…文中のS,O,Cになる

まずは品詞の筆頭、代表格である名詞からです。
ですが、その前に品詞と英文構造には密接な関係があるので、まずは文の要素からお話しします。

文型には5つあるのはご存知だと思いますが、その文型を形成する文の要素が以下の通りです。

 S=主語(Subject)→動作の主体。「〜は」「〜が」に当たる。
 O=目的語(Object)→動作の客体。「〜を」「〜に」に当たる。
 C=補語(Complement)→SやOの状態や性質を後付けで説明する。
            「〜で」「〜に」「〜と」に当たる。
 V=述語(Verb)→動作や状態を表す。
 M=修飾語(Modifier)→文の要素にはならない。なくても文は成立する。

このうち、SにもOにもCにもなれる品詞が名詞です。したがって、英文の中では最も重要な品詞のうちの1つです。

 Ex1. [The book] is mine. (その本は私のものです)
    →文のSになっている。
 Ex2. I like [the book].(私はその本が好きです) 
    →文のOになっている。
 Ex3. There is a bookmark under [the book].(その本の下に栞があります)
    →前置詞のOになっている。
 Ex4. My favorite thing is [the book].(私のお気に入りのものはその本です)
    →文のCになっている。 

形容詞…①名詞を修飾する[限定用法]/②Cになる[叙述用法]

形容詞は名詞・動詞に次ぐ最重要品詞の一つです。
まずは以下の例文をご覧ください。

 Ex1. This is a (beautiful) flower. (これは美しい花です)
   →名詞を修飾している(限定用法)
 Ex2. This flower is (beautiful). (この花は美しい)
    →文のCになっている(叙述用法)

限定用法(名詞を修飾する)

「名詞を修飾する」ということは、

複数存在する名詞のうち、ある特定の性質・状態を持つ一部限定する」

ということです。


例えば例文は”a beautiful flower”という表現を使いましたが、これが意味するのは

「“flower”は複数存在していて、その中にはbeautifulなものもあればbeautifulではないものもある」

「そのたくさんある“flower”の中から、beautifulという性質を持った一部に限定する」

ということを意味しており、“そのうちの1つ”という意味で冠詞のaがついています。

したがって、そもそも複数存在しない固有名詞(Japan、the Statue of Libertyなど)や、「それそのもの」に言及する人称代名詞(I,you,he,she,theyなど)は、原則的に形容詞で修飾することはできません。

「名詞を修飾」=「複数存在のうちの一部に限定」という考え方は、不定詞の形容詞的用法と副詞的用法の区別や関係詞の制限用法と非制限用法の違いなどに関わってきます。

ちなみに、形容詞の限定用法は文の要素になりません。
したがって、以下のように分詞による修飾部や関係詞による修飾部も全て文の要素にはなっていないということを確認しておきましょう。

ex1. The (difficult) book was written by this writer.
  →直後のbookという名詞を修飾するdifficultがなくても文は成立する。
ex2. The book (written by this writer) is very exciting.
  →直前のthe bookという名詞を修飾するwritten by this writerがなくても文は成立する。
ex3. The book (that he bought yesterday) was very exciting.
  →直前のthe bookという名詞を修飾するthat he bought yesterdayがなくても文は成立する。

叙述用法(Cになる)

形容詞が、SVCとSVOCのCの位置で使われる場合、叙述用法と呼ばれます。

「叙述」とは「説明する」という意味です。
SVCならば「SはCである」という説明を、
SVOCならば「OはCである」という説明を補足的に付け加えるはたらきがあります。

ex1. She looks happy. (彼女は幸せそうに見える)
  →「彼女は幸せである」という意味を説明している。
ex2. The word made him angry. (その言葉は彼を怒らせた)
  →「彼は怒った」という意味を説明している。

ちなみに、限定・叙述という名称は辞書に出てきますので、文法用語を覚えるのが嫌いな方でも、この名称は覚えておいた方が良いと思います。

例えばcertainという形容詞は限定用法と叙述用法では意味が違います。
以下の画像をご覧ください。ジーニアス英和辞典第5版からの抜粋です。

上の画像をご覧の通り、よく言われる「確信している」という意味の冒頭に[叙述]と書かれていますが、これはcertainという単語が叙述用法、SVCのCの位置やSVOCのCの位置で使われる時に「確信している」という意味になるということを表しています。

  ex1. I feel certain of his success. [SVCのCの位置]
    (私は彼の成功を確信しています)
  ex2. I feel it certain that he will succeed. [SVOCのCの位置]
    (私は彼が成功することを確信しています)

それに対し、以下の画像をご覧ください。

これは同じcertainという単語の4番目と5番目の意味として掲載されている箇所です。

冒頭に[限定]と書かれているのが分かると思います。これは限定用法、つまり名詞を修飾する用法ですから“(a) certain 名詞”という形になる時にこうした意味になるということを表しています。

このように、形容詞には限定用法と叙述用法で意味が変わるものがあり、辞書に明記されているので、限定用法・叙述用法という名称とその意味は覚えておきましょう。

副詞…文の要素にならない(なくても文としては成立する)

副詞は色んな種類があって厄介ですが、英語で言うと語尾が-lyで終わる語(carefullyとかeasilyとか)で、日本語だと「注意深く」「簡単に」など「〜く」「〜に」で終わる語が多いです。

 Ex1. She <rarely>goes out.
   →”goes”という動詞を修飾
 Ex2. He is a <very> smart boy. 
    → “smart”という形容詞を修飾
 Ex3. She likes apples <very>much.
   →”much”という副詞を修飾
 Ex4. <Unfortunately> I don’t know that. 
   →文全体を修飾
 Ex5. Children <today> don’t play outside.
   →名詞を修飾

副詞の定義というと「名詞以外を修飾する」という定義を挙げられることが多いですが、実際には上記のEx5のように名詞を修飾する場合はありますし、どこを修飾しているのかは文脈をよく考えなければ分からないので、実戦的にはあまり役に立たない定義だと言えます。

品詞のはたらきとはそもそも文の形を見ただけで判別できなければ実戦で役に立ちません。
以上の観点から、副詞は「文の要素にならない」という定義で覚えておくのが最も良いと言えます。

「文の要素にならない」ということは、置かれる位置は大きく以下の3通りになるということです。

  • 文頭(SVよりも前) <Seeing the police officer>, he ran away.
  • 文中(通常はSの後) He, <seeing the police officer>, ran away.
  • 文末(文型完了後) He ran away/<seeing the police officer>.

動詞…文中のV(述語)になる

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動詞が述語になるというのは誰しも知っていることだとは思いますが、以下の点に注意しておいてください。

動詞には、文の述語になるものとならないものがあります。
この記事では文の述語になるものを本動詞、ならないものを準動詞と定義します。

例えばtakeという動詞1つ取っても、

  take, takes, took, taking, taken, to take

と様々な形で使うことはご存知だと思います。

しかし、このうち述語として使えるのはtake, takes, tookの3つだけです。
それに対しtaking, taken, to takeは名詞のかたまりを作ったり名詞を修飾したりします。

したがって、以下のように整理しておきましょう。

本動詞=V原形/V-s/Vカコ
準動詞=Ving/Vp.p./to V原形

以上の分類は、ごく当たり前に思われるかもしれませんが、特に日本語の付いていない並び替え問題などで重要な指標となります。つまり、V原形/Vs/Vカコの3種類は必ず述語になるので、この3つから文を作っていけばいい、という思考ができるようになります。

それに対し、準動詞(Ving/Vp.p./to V)は別の品詞(名詞or形容詞or副詞)のはたらきをするので、文の構造上どの品詞として使えば良いのかという思考をしていくことになります。

前置詞…“前置詞+名詞”のカタマリで、形容詞(限定)or副詞になる。

前置詞は読んで字の如く「前に置く品詞」ということで、「名詞の前で使う品詞」のことです。
文中で前置詞を発見したら、とにかく問答無用で“前置詞+名詞”のかたまりを作る癖をつけましょう。

 Ex1. The cat (in the box) is mine. [形(限)]
   (箱の中にいる猫は私のだ)
   → “in the box”というかたまりが直前の名詞を修飾
 Ex2. There is a cat <in the box>. [副詞]
   (箱の中に猫がいる)
   → “in the box”というかたまりが動詞を修飾

“前置詞+名詞”のかたまり(前置詞句と呼ばれる)は上記の例文のように、前置詞句より前にある名詞を修飾する場合と、動詞を修飾していく場合があります。

前置詞句が名詞を修飾する「形容詞のはたらき」をするのか、それとも動詞を修飾する「副詞のはたらき」をするのかは文脈によりますが、どちらにせよ文の要素にはなりません。

なので、前置詞を見たら直ちに「前置詞+名詞」のかたまりを作って排除すると文の構造がわかりやすくなります。

接続詞

接続詞は意外に奥が深いので、順番にお話していきますね。
まずは、接続詞には2種類あるんだ、ということから始めましょう。

以下の2種類があります。
①等位接続詞…文法的に同じものをつなぐ。
②従属接続詞…“接続詞+SV”のカタマリで、名詞or副詞になる。

 Ex.彼は疲れていたが、働き続けた。
 (a) He was tired, but he kept on working.
   →等位接続詞(語順通りに訳す)
 (b) He kept on working <though he was tired>.
   →従属接続詞で副詞のはたらき(語順に逆行して訳す)

簡単に言うと「訳し下げる(語順通りに訳す)」
か「訳し上げる(語順とは逆行して訳す)」かの違いです。

「訳し下げる」接続詞を“等位接続詞”
「訳し上げる」接続詞を“従属接続詞”と呼びます。

英語全体の中では、大半が従属接続詞で、等位接続詞はほんの少数しか存在しません。
なので、等位接続詞については全部覚え切ってしまって、あとはすべて訳し上げる接続詞として理解しておきましょう。

等位接続詞…文法的に同じものをつなぐ。

知ってますよ!接続詞って、文と文をつなぐものですよね!

接続詞の定義をそう覚えている人もいるのですが、文と文をつなぐのは従属接続詞の方で、等位接続詞は必ずしも文と文をつなぐとは限りません。

じゃあ、何をつなぐんですか?

何でもつなぎます。

等位接続詞とは、読んで字の如く「等しい位にあるものをつなぐ品詞」です。
もう少し詳しく言うと、「文法的に同じもの」なら何でもつなぎます。

例えば、名詞と名詞、形容詞と形容詞、to Vとto V、VingとVingなどなど…。

文と文は、等位接続詞がつなぐものの中の1つに過ぎません。
したがって、「等位接続詞は文法的に同じものなら何でもつなぐ」という定義で覚えておきましょう。

等位接続詞の種類

等位接続詞は英語全体の中でも、以下の7つしかありません。
これら以外は全て、訳し上げる(語順と逆行し訳す)接続詞だと思ってください。

等位接続詞は、その頭文字をとってFANBOYSで覚えます。
ちなみに、fanboysとは「オタクの男の子」という意味ですが、この意味は特に覚える必要はありません笑

 F=for(というのも…だからだ)
  →forは接続詞で使うと後付けの理由説明。
 A=and(そして/…と)
  →等位接続詞の代表格。
 N=nor(…もまた~ない)
  →否定を追加する接続詞。not+orの意味。
 B=but(しかし)
  →andと並ぶ等位接続詞の代表格。
 O=or(または)
  →and/butに次ぐ接続詞の代表格。
 Y=yet(しかし)
  →「まだ…ない」の訳をするときは副詞。
 S=so(だから)
  →orに並ぶ等位接続詞の筆頭格。

語順通り訳し下げていけるのは、以上7つのみです。

え?そんなことはないでしょう?

だってbecauseは「なぜなら〜だからだ」って語順通り読めますよね?

嘘じゃないですか!

実はその訳し方は、because SVが文末にある時にしかできない特例的な訳し方なんです。

文頭にbecause節が来る場合は、その訳はできません。
「なぜなら〜だからだ」というのはあくまで意訳だと思っておかないと、以下のような文で間違った訳を作ってしまい、文章の意味を取り違える危険性があります。

Ex. Because boys tend to take a risk, their parents can’t stop worrying.
[間違った訳]なぜなら男の子は危険を冒す傾向があるからで、親の心配は尽きない。
 →この訳だと、前文の内容が理由で「男の子は危険を冒す傾向がある」が結果になってしまう。
[正しい訳]男の子は危険を冒す傾向があるので、親の心配は尽きない。
 →「男の子は危険を冒す傾向がある」というのが理由で、「親の心配は尽きない」が結果。

以上のように、becauseを「なぜなら〜だからだ」で覚えてしまうと因果関係を取り違えてしまいます。
しかし、原則に従い
「becauseは従属接続詞だから、後ろのSVを訳してから『〜ので、〜から』と訳す」
と徹底しておくと、because節が文頭にあっても文末にあっても意味を取り違えることはなくなります。

昨今は「とにかく意味が取れたらいいだろう」という風潮が先行し過ぎていて、直訳と意訳の区別ができない人が増えているように思います。

「英語を語順通り理解する」というのはもちろん目指すべきことですが、因果関係や能動受動の関係など、論理構造を理解しないうちから何でもかんでも英語は英語のまま理解しようとすると、却って誤った癖を身につけてしまうことになります。
まずは、文構造と直訳に基づいて英文の論理構造をしっかりと理解することが先決なのです。

等位接続詞がつなぐもの

「等位接続詞は文法的に同じものなら何でもつなぐ」って言いましたけど、じゃあ何と何をつないでるかってどうやって分かるんですか?

まさに、そこが問題です。
英文構造が難解になってくると等位がつなぐものをはっきりさせる必要がありますし、つなぐものを間違ってしまうと全く違う意味になってしまうので注意が必要です。

先ほども述べたように等位接続詞がつなぐのは、名詞と名詞、形容詞と形容詞、不定詞と不定詞、関係詞と関係詞など、とにかく文法的に同じものであれば何でもOKです。

では、等位接続詞が「何と何をつなぐか」をどう判別するのか?

それは、等位接続詞の直後の品詞とその形に注目することです。
以下の文をご覧ください。

 (a) He wanted to go abroad and study English.
 (b) He wanted to go abroad and studied English.

これらの文はどちらもandという等位接続詞が使われていますが、注目すべきはその直後です。

(a)の文はandの直後にstudyという“動詞の原形”があります。
なので、andの前にさかのぼって、“動詞の原形”を探します。
ありました。goです。よって、「このandはgoとstudyをつなぐ」と言えます。

では文意はどうなるのかというと、goとstudyが並列関係である以上、go以下が全てto不定詞の中に入り、以下のような構造となります。

 (a) He wanted [to go abroad and study English].

したがって、訳は「彼は海外に行って英語を勉強したかった」となります。

これに対して、(b)の文はandの直後にstudiedという“動詞の過去形”があります。
よって、このandがつなぐのはwantedとstudiedということになります。

では何が言えるかというと、want to ~「~したい」はabroadで一旦終わっており、新たな述語studiedが用意されているということになります。

(b) He wanted [to go abroad]/ and studied English.

よって訳は「彼は海外に行きたくて、英語を勉強した」となります。
(a)との訳の違い、お分かりいただけたでしょうか?

従属接続詞…“接続詞+SV”のカタマリで名詞or副詞になる。

従属接続詞は等位接続詞と違い必ず文と文をつなぐのですが、
概念としては前置詞の方に近いです。

前置詞は後ろに名詞を従えて“前置詞+名詞”のかたまりで使いますが、
従属接続詞は後ろに完全な文を従えて“接続詞+SV”のかたまりで使います。
どちらも「かたまりを作る」というのがポイントです。

前置詞も接続詞も単独で使うことはできないので、単語を覚える際も例えば
“despite 〜”で「〜にも関わらず」、“though 〜”も「〜にも関わらず」と覚えるのではなく、

 despiteは前置詞だから“despite O”で「Oにも関わらず」
 thoughは接続詞だから“though SV”で「SがVするにも関わらず、SがVするけれども」

という風に、後ろのOやSVもセットにして覚えていくと、自然と前置詞・接続詞の区別がつくようになりますし、また英文読解の時にも後ろの形を推測しながら読み進められるので、読解速度向上にも役立ちます。

名詞のかたまりを作る従属接続詞

従属接続詞は“接続詞+SV”のかたまりを作ると述べましたが、
そのかたまり全体で名詞になるときと副詞になるときがあります。

ですが、名詞のはたらきをする(=文のS、O、Cになる)のはthat/whether/ifの3種だけです。

Ex1. [Whether he‘ll come or not] is important.
  (彼が来るかこないかが重要だ)
  →[whether he will come or not]のカタマリ全体でSになっている。

Ex2. He asked her [if she liked spring].
(彼は、彼女に春が好きかどうか尋ねた)
  →[if she like spring]のカタマリ全体でOになっている。

Ex3. The problem is [that he hates swimming].
  (問題なのは彼は水泳が嫌いだということだ)
  →[that he is honest]のカタマリ全体でCになっている。

他に、whatやhowなどの疑問詞も、間接疑問文と呼ばれる名詞のかたまりを作る従属接続詞のはたらきをしますが、ややこしくなると思うのでとりあえずここでは省いておきます。

副詞のかたまりを作る従属接続詞

名詞のかたまりを作る従属接続詞は上記の通り3つだけなので、
従属接続詞と言えば通常は副詞のかたまりを作ると考えてもらって結構です。

副詞は「文の要素にならない」という定義なので、置かれる位置は決まっています。
以下の3通りです。

  • 文頭(SVよりも前) <接+S’V’>, SV
  • 文中(通常Sの後) S, <接+S’V’>, V
  • 文末(文型完了後) SV…/<接+S’V’>

ex.
(a) <Because he was unable to swim>, he refused to go to the beach.
(b) He, <because he was unable to swim>, refused to go to the beach.
(c) He refused to go to the beach / <because he was unable to swim>.

先生!接続詞で文を書き始めてはいけない!って聞いたことがあるのですが!!
特にBecauseスタートなんてもってのほかだ!と怒られたこともあります…。

結論から言うと、文法的にそんなルールはありません。確かに等位接続詞で書き始めるのは避けた方が良いとは言われますが、従属接続詞で書き始めるのは間違いだ!!なんてことはありません。実際英文にもたくさん出てきますよ。

じゃあ、どうしてそんなに厳しく言われたのかな?

実はこれ、ネイティブスピーカーでも「Becauseスタートはダメだ」と思い込んでいる人が一定数いるんですよ。というのも、小学校で厳しくそう言われるからなんですよね。

日本人でもよくやってしまう間違いなんですが、Becauseで英文を書き始めて文が完成したら、主節を書かずにピリオドを打ったことありませんか?

Because he was unable to swim.
で文を終わらせる、てことですよね?確かにやってしまったことがあります…。

Why?に対する返答であれば例外的に許されているのですが、これは副詞節だけの文なので文法的に明らかに間違いなんですね。

このミスはネイティブでも、特にまだ文章をあまり書き慣れていない小学生だとよくやってしまうミスなんです。このよくある初歩的なミスを防ぐために、小学生には「接続詞で文を書き始めてはならない!」て教えるんですね。

それはあくまで文法ミスを防ぐための一つの工夫に過ぎないんですが、あまりにも厳しく言われるもので、これがあたかも確立した文法理論であるかのように勘違いする人がネイティブでも続出し、結果日本人でも多くの人が勘違いしてしまっているというのが実情なんです。

becauseスタートに関しては以下のURL以外にも “start with because”などで検索するとたくさんヒットしますので、一度ご覧ください。

Can You Start a Sentence with Because?
Can you start a sentence with BECAUSE? The short and simple answer is yes, you can. Here are two instances where it work...
Can You Start a Sentence with “Because”?
“Razorwife” wrote, “I just heard for the first time in my life that you can’t use ‘because’ at the beginning of a senten...
Can we start a sentence with because?
Answer (1 of 101): Everyone has commented, correctly, that it is legitimate to begin a sentence with a subordinate claus...

接続詞ではないもの

以上のことを踏まえると、英語の接続詞は以下のようにまとめることができます。

まず、等位接続詞(訳し下げ)がFANBOYSの7つ。それ以外は従属(訳し上げ)。

従属接続詞の中でも、名詞のカタマリを作るのがthat/whether/ifの3つ。

それ以外はすべて従属接続詞で、副詞のカタマリを作る!

このように整理しておくと、以下のよく勘違いをする以下の単語にも惑わされなくなります。

 however(しかしながら)
 therefore(それゆえに)
 nevertheless(それにもかかわらず)etc…

え?接続詞じゃないんですか?
小学校の時からずっとそう習ってきましたが…。

確かに日本語では接続詞に分類されます。
しかし、英語と日本語では品詞の分類が違うので注意が必要です。

英語における「接続詞」の定義は上記のように、

 ① FANBOYSのどれか(等位接続詞)
 ② “接 SV” のカタマリをつくる(従属接続詞)

だけです。すると「接続詞であるか否か」は以下で決まります。

Q1. however/therefore/neverthelessなどはFANBOYSに含まれる?
  —No.(=等位ではない)
Q2. “接 SV”のかたまりを作る?
  —No.(=従属でもない)

 ∴however/therefore/neverthelessなどは、「接続詞」ではない

howeverなどが接続詞ではないということは分かりましたが、じゃあ何詞なんですか?

答えは「副詞」です。

副詞の定義を覚えているでしょうか?
「文の要素にならない」というのが副詞の定義です。

つまり、howeverやthereforeなどは削除しても英文としてしっかり成立します。
これらを接続副詞と呼ぶ先生や文法書もありますが、「英語の接続詞と日本語の接続詞は別物だ」という理解がしっかりできるまでは、単に「副詞」と覚えておいた方が良いと思います。

少し練習してみましょう。

「彼は疲れていたが、働き続けた」という文を書こうとするとき、正しい文は以下のうちどれでしょうか?全て選んでみましょう。

(a) He was tired, however he kept on working.
(b) He was tired, but he kept on working.
(c) He was tired. However, he kept on working.
(d) He was tired. He, however, kept on working.
(e) He was tired. He kept on working, however.
(f) He was tired. He, but, kept on working.
(g) He was tired. He kept on working, but.
(h) He was tired though he kept on working.
(i) He kept on working though he was tired.


答えは…

(b),(c),(d),(e),(i)の5つです。

(a) He was tired, however he kept on working. (×)
 →howeverは副詞なので、文と文をつなぐことができない。

(b) He was tired, but he kept on working. (◯)
 →butは等位接続詞なので、文と文をつなぐことができる。

(c) He was tired. However, he kept on working. (◯)
 →howeverは副詞なので、一旦文を終わらせた後であればOK。

(d) He was tired. He, however, kept on working. (◯)
(e) He was tired. He kept on working, however. (◯)
 →howeverは副詞なので、文頭だけでなく文中・文末でも使える。

(f) He was tired. He, but, kept on working. (×)
(g) He was tired. He kept on working, but. (×)
 →butは等位接続詞なので、文法的に同じものをつながなければならない。

(h) He was tired though he kept on working. (意味的に×)
(i) He kept on working though he was tired. (◯)
 →thoughは従属接続詞なので、though SVのかたまりで「SはVするけれども」という意味になる。
 →どちらも文としては成立しているが、従属接続詞は訳し上げ(語順に逆行して訳す)なので、
  (h)だと「彼は働き続けたけれども疲れていた」となって文意がおかしい。

意味だけで考えるのではなく、ちゃんと文構造と品詞に基づいて考えることが非常に重要です。
こうした知識は、文法問題だけではなく英文読解でも重要になってくるのでしっかり区別して覚えておきましょう。

最後に

いかがでしたでしょうか?
おそらく、ものすごく退屈に思ったことでしょう笑

しかし、例えば不定詞の「名詞的用法」や「副詞的用法」など、品詞の概念は文法の随所で必ず出てきます。

そんな時に、品詞の概念を思い出しながら理解していくと、驚くほど一貫した論理が見えてきます。
焦らずゆっくりでいいので、少しずつ品詞の知識を身につけていきましょう。

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