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【完全保存版】リスニング力が爆上がり!英語の音変化の全て

「何を言っているか分からない!」

「スクリプトを見ても音と英文がリンクしない…」

リスニングをしていてそんな感想を持ったことがないでしょうか?

英語が聞き取れない要因は数多ありますが、その一つの原因が英語特有の音変化です。

このブログでは、TOEIC満点・英検1級の私が英語特有の音変化のルールを解説します。音変化のルールがわかれば、英語の音を自分で再現しやすくなりリスニング力も驚くほど向上します。

ぜひ最後まで読んでみてください。

英語はなぜ音変化するのか?

先生!英語が音変化するというのは何となく分かるんですが、なぜ変化するのか、どういうルールで変化しているのか分かりません!ていうか英語話者の人って、適当に話してません?

適当に話してはないですよ(笑)
ただし、普段カタカナ英語で学習をしていると、自分の思う“英語”と本当の英語がかけ離れすぎていて、そう思ってしまうかもしれません。

英語は基本的に全ての単語を繋げて発音します。
これをリンキング(Linking)と言います。

例えばThis is a pen.という文は「ディス・イズ・ア・ペン」とぶつ切りに発音されることは原則ありません。子供に言い聞かせたり,相手をややバカにしたりする場合など,非常に特殊な場合ぐらいでしょう。

そうではなく,まるで一つの単語のように全て音を繋げて発声します。よって、あえてカタカナで書くと「ディスィザペン」という発音の方が近いです。

ローマ字で表記してみると分かりやすいのですが、ほとんどの日本人は英語をカタカナに置き換えてしまうので以下のように認識しています。

This= DISU
is= IZU
a= A
pen= PEN

上記の赤字で書いたUが余計な音です。

実際は

This= DIS
is= IZ
a= A
pen= PEN

なので、繋げるとDISIZAPEN「ディスィザペン」となります。

カタカナ英語で発音しようとすると、上記のように余計な母音(ぼいん:アイウエオの音)が必ず入ってしまう上に、単語ごとに音をぶつ切りにして発音してしまいます。
しかし、実際の英単語には無駄な母音は入っていませんし、全単語を繋げて発音していきます。なので、カタカナ英語だと英語には聞こえないのです。

自分は英語を話しているつもりなのに、相手に全く理解してもらえないということがよくあったのですが,こういうことなんですね…。

英語を流暢に話し,英語で会話をしたければ,まずはカタカナ英語を捨てることから始めましょう。

さて、英語を話す際に重要なのは音節(おんせつ:syllables)です。

英語学習中に普段意識することはあまりないでしょうが、英単語には音節という、母音ごとの区切りがあります。辞書を引いた時にどの単語でも書かれている、単語の綴りに埋め込まれた黒丸(・)が音節の区切りです。例えばrefrigerator「冷蔵庫」という単語は、re・fri・ge・ra・torと黒丸が打たれています。

実は英語を聞いたり話したりする際は、単語の区切りよりもこの音節の区切りの方が重要です。
なぜかというと、英語は単語の区切りよりも音節の区切りを優先して発音をしているからです。

例えば先程のThis is a pen.の文でも、

“This/is/a/pen.”

のように単語の区切りは意識しておらず、全ての単語を繋げた上で音節ごとに認識していると言えます。

音節で認識すると、

DI/SI/ZA/PEN

という区切りになります。

想像していた音とはだいぶかけ離れていますよね?

単語と単語の間にはスペースも空いていますし、どうしても単語ごとに独立した発音をしてしまいがちですが、まずはその固定観念を払拭し「全ての単語の音はつながるのだ」ということを念頭に置いておきましょう。

音節を正しく繋いでいくことができれば、英語らしい発音にしていくことができます。

「おんせつ」ですか…。なんだか難しそうですね。
そもそも各単語の音節ってどうやって分かるんですか?

基本的に1母音に1音節となっています。
辞書を引くと必ずどの単語も音節の区切りを示す黒丸が打たれていますよ。

でも、各単語の音節を一つ一つ覚えていく必要はありません。単語を繋げて話そうとすれば自然と繋がっていくものです。

まあ難しい話はさておき、まずは

「とにかく英語を話す際は全単語がつながるんだ!」

と思っておけば大丈夫です。

英語の音変化のルール

それでは、実際に音変化していくルールを見ていきましょう。

基本ルールは以下の6つです。

  1. フラップ
  2. リエゾ
  3. アスィミレーション
  4. 語尾の脱落
  5. nの直後のtの脱落
  6. 飲み込む音

解説をしていく前に一言申し上げておくと、私は英語をカタカナで表記するのは大嫌いです。そもそも違う言語である英語の音を日本語のカタカナで表記できるはずがないというのが私の基本的な考え方だからです。

しかし、ここでは文字で伝えなければならない便宜上、やむを得ずカタカナを使います。

それでも、しつこいようですがカタカナ表記はあくまで便宜上のものなので、理屈が分かった後はできるだけカタカナを捨てて、ネイティブの音をマネして発音できるように練習してください。

フラップ

例:water→「ワー」 daughter→「ダーー」 better→「ベー」

このフラップという現象は、tの音を発音しようとする時に起こります。

カタカナで「ティー」と言ってみてください。
その際、舌の先が上の歯の根本あたりに触れたと思います。

英語を発音する際は、舌が口の中で高速で動くため、
この舌先と歯茎あたりの接触がものすごく弱くなります。

その結果、本来は「タッ、トゥッ」など破裂して発音するはずのtの音が
「ラ行」や「ダ行」の音のように聞こえてしまうのです。

この現象をフラップと言います。

tの音ならばなんでもこの現象が起こるわけではなく、
“tが母音に挟まれていてかつ後ろの母音にアクセントが置かれていない時”
に限られます。


フラップ現象はイギリス英語よりもアメリカ英語でよく起こります。
日本人はどちらかと言うとアメリカ英語の方を聞きなれているので、
フラップの発音を聞くと「うわ、英語っぽい」と感じやすいことでしょう。

フラップ化したt音はカタカナ英語からは最もかけ離れた発音だとも言えますが、特にアメリカ英語では当たり前のように起こる現象なので、自分でもちゃんとフラップで発音して慣れておきましょう。

リエゾン

例:can I→「ケァイ」 as if→「アズィフ」 for a→「フォー」 in a hurry→「イハリィ」

リエゾンというのは、音のつながりのことです。

冒頭でも述べたように、英語は音節がつながって発音されます。
特に語尾の子音と語頭の母音は、子音と母音がくっついて新たな音になります。
この音のつながりのことをリエゾンと言います。

リエゾンが起こる時、その前後の単語はつながって1語のように聞こえてしまうので
「フォーラ」なんて単語は知らないぞ!ということになったりします。

聞き慣れない音が出てきたら「リエゾンかも?」と思ってみると、意外と分かる時が多いでしょう。

アスィミレーション

例:pass your→「パシュア」 use your→「ユージュア」 can’t you→「ケァンチュー」 did you→「ディジュー」 what’s you→「ワッチュー」  sends you→「センジュー」

これもリエゾンと同様に音の接続の一種ですが、特に後ろのy音につながる場合をアスィミレーション(Assimilation)と言います。
この音変化は、ネイティブ発音をバカにしがちな中学生ですら抵抗感の少ない、恐らく最も馴染みのある音変化でしょう。

語尾の脱落

例:it→「イッ」 stop→「スターッ」 big→「ビッ」

語尾が破裂音の場合、特にアメリカ英語ではほとんど発音されません。
破裂音とはp/b/t/d/k/gのことです。

破裂音はただでさえ発音されないことが多いのに、
カタカナ発音をすると

it→itto

stop→stoppu

big→biggu

のように、破裂音だけでなく余計な母音まで入ってしまうため、
最も英語とは認識されにくくなる代表格です。

外国人が日本語訛りの英語をモノマネする時に実演するのが大体これです。
できるだけ英語っぽい発音をしたければ、脱落すべき音はちゃんと脱落させましょう。

ただ注意しておきたいのは,「脱落する」と言っても全く言っていないわけではないということです。

「言おうと思ったけど音が出なかった」という方が正しいと思います。

したがって,舌の位置や口の形などはその音を出せるようになっているため,例えば“stop it”のように後ろに母音が続く場合はリエゾンを起こして「スターピッ」とp音が復活するのです。

nの直後のtの脱落

例:twenty→「トゥウェニー」 enter→「エナー」 Internet→「イナーネッ」

twentyは最も分かりやすい例かもしれません。

このn音の直後のt音の脱落は,特にアメリカ英語の速い発話で起こりやすいと言えます。
twenty以外は,試験やリスニング対策テキストなど学習教材ではなかなか出会うことがないかもしれませんが,ニュースや映画などでも頻繁に聞かれる,よくある音の脱落です。

これも原理はフラップに似ていて,t音を発生させる時に舌先が歯茎と接触しにくい(もしくは全く接触しない)ために起こります。

飲み込む音

例:important→「インポー●ン」 forgotten→「フォーガッ●ン」 garden→「ガー●ン」

これはカタカナではなかなか表記しにくいのですが,発音記号で[tn]または[dn]になるものは,t音とd音が飲み込まれたような音になります。

特にアメリカ英語の速い発話で、[tn]の方が[dn]よりも起こりやすいと言えます。

他にも「カッ●ン」と聞こえたらcottonだったり,「マンハッ●ン」と思ったらManhattanだったり,意外にたくさんある音変化です。

英語を聞いていて,なんだか「飲み込んでるみたいだな」と思った時,そこにtやdを補えば知っている単語になることがあるでしょう。

音変化の複合

これまで述べた音変化は単独で起こることもあれば,複数合わさる場合もあります。
冒頭でも述べたように,英語は単語を全て繋げて発音するので,リエゾン(音の連結)が通常の状態です。

そして,リエゾンした結果その他の音変化の条件を満たし,さらなる音変化をしていくことがよくあります。

リエゾン+フラップ

例:what if→「ワフ」 right away→「ライウェイ」 at all→「アー」

赤字の部分がつながり(リエゾン),その結果tが母音と母音に挟まれることになりフラップが起きます。

リエゾン+語尾の脱落

例:look at→「ルカッ」 have it→「ハヴィッ」 wake up「ウェイカッ」

これは比較的分かりやすい音変化でしょうし,聞き慣れているのではないでしょうか。

リエゾン+フラップ+語尾の脱落

例:Check it up.→「チェケラッ」 What about it?→「ワラバウリッ」

よくラッパーが連呼する有名な「チェケラ」という言葉は,実はCheck it up.なんですね。
checkとitとupの全てが連結し(リエゾン),itのtが母音で挟まれるためフラップが起き,かつupの語尾が破裂音なので脱落する,という複合的な現象が起きて「チェケラッ」という発音になります。
「チェケラ」と言うと「チェック・イット・アップ」というカタカナ表記から相当かけ離れているので,間違った発音のように思ってしまうかもしれませんが,むしろ英語本来の発音に近いのです。

「チェラ」ではなく「チェラ」と書かれることが多い(実際聞こえる場合も多い)のは,英語の[i]の発音は元々「イ」と「エ」の中間音だからです。

What about it?はカタカナで「ホワット・アバウト・イット」と思い込んでいると絶対に聞こえない音です。whatとaboutは“リエゾン+フラップ”で,about itの部分は“リエゾン+フラップ+語尾の脱落”になっているため、「ワラバウリッ」と聞こえます。ここまで来るともはや別の言語のように思われるかもしれませんね笑

この“リエゾン+フラップ+語尾の脱落”は他にget up→「ゲラッ」などがあります。
アメリカ英語だと特に起こりやすい現象なので,映画などで聞いたことがあることでしょう。

フラップ+弱音の脱落

例:call her→「カーラー」 did he→「ディディー」 should have→「シュダヴ」 

英語は発話する時,強い音と弱い音を交互に組み合わせているのですが,その弱い音を弱音と言います。弱音には助動詞,前置詞や代名詞など情報の優先度としてはそれほど高くないものが置かれやすいのですが,特に助動詞のhave/has/hadや代名詞のhe/his/him/her,さらにtheir/themという代名詞が弱音で発音される時,h音やth音が抜け落ちた状態になって、直前の単語とリエゾンを起こすことになります。

まとめ:リスニング上達のために

リスニングって「全然スクリプト通り言ってない!」なんて思っていたものですが,こんな風に音変化をしていたんですね…。

謎が解けると意外にスッキリしたのではないでしょうか?

こうした音変化は実は英語を自然に発音していたら自然に起こる現象なので、「カタカナ英語」を脱却しつつ、一度しっかりと理論を学んでおくと納得しやすいと思います。

ここまで,リスニングをしていく上で欠かすことのできない,英語の音変化について扱いました。

しかし,以上のルールは別に全て覚える必要はありません。
ただ知識として知っておくだけでいいのです。スクリプトを見た時に「自分が聞こえている音と違うんだけど!」と思ったらこの記事を思い出し,「ああ,そう言えばそんな音変化もあったかもな。だからこんな風に聞こえるのか」と納得できれば十分です。
こんなことに記憶のリソースを割くぐらいなら単語や文法を覚えた方がよほど有意義です笑

リスニング上達に必要なのは,実際の英語の音を正しく認識できるように訓練することです。
音変化のルールは細分化していくとまだまだたくさんありますし,一つ一つルールを覚えたからと言ってリスニングが上達するわけではありません。

実際にしていくべきことは,音変化のルールを知ったらカタカナ発音を捨て,実際に自分の耳に聞こえる音のまま認識することです。「ワラバウリッ」と聞こえたらWhat about it?と認識できる脳回路を持つことが重要なのです。

そうなるためには,自分がどの音を認識できていないのかを知るためのディクテーション(聞こえる音を書き取る),そして音を正しく聞き取れるようになるためのシャドーイング(音声に続いて自分で発音する)が必須かつ最も効果的な学習方法です。

リスニングも一朝一夕で伸びるものではありませんが,音変化のルールを理解しながらリスニング学習を進めていくと聞こえてくる音の範囲も広がり,リスニング学習がきっと楽しくなると思います。ぜひ頑張ってみてください!!

You先生

昭和生まれで純ジャパの現役予備校講師。かつては苦手だったリスニングとスピーキングを克服し、英検1級一発合格・TOEIC990点満点取得。