どうも、You先生です。ここでは、英検1級に一発合格した私が英検1級2次試験のためにどのような対策をしたのかをシェアします。
かつての私のように、スピーキングに苦手意識のある人たちの参考になると思います。
1次試験と2次試験を1日で受験できる「英検iBT」というのもありますが、ここでは私が受験した従来型の試験について書いています。
英検1級の1次試験(筆記)に晴れて合格すると、2次試験が待っています。
受験する日程にもよりますが、合格通知からおよそ3〜4週間後に2次試験を受験することになります。
1次試験はリーディング、リスニング、ライティングの力を問う試験でしたが、2次試験はスピーキングです。
面接官2人(外国人と日本人)を相手に、英語でスピーチをしてその質疑応答をします。採点基準は以下の通りです。
項目 | 詳細 | 満点 |
SHORT SPEECH (2分間スピーチ) | 与えられる5つのお題の中から1つ選び、2分間のスピーチを行います。 | 10 |
INTERACTION (質疑応答) | 自分がしたスピーチに対して、面接官2名からそれぞれ2〜3問ずつほど質問をされるので、それに対する自身の意見を述べます。 | 10 |
GRAMMAR AND VOCABULARY (文法と語彙) | スピーチおよび質疑応答で自分が発した英語の文法と語彙が査定されます。 | 10 |
PRONUNCIATION (発音) | 発音、アクセント、イントネーションが査定されます。 | 10 |
以上、素点にして40点満点で、それが850点満点のCSEスコアに換算し直されます。
「与えられる5つのお題は何が課されるか分からない」
「日本語でスピーチするのも難しいものを2分間英語でしなければならない」
「自分のスピーチに対する質疑応答に4分間耐えなければならない」
こうしたハードルを全て超えていかなければ合格に辿り着けないことから、1次試験には合格できても2次試験で複数回落ちてしまう人も続出するほどです。
幸い、1次試験に合格すれば3回は1次試験免除されるので、チャンスは多い方かも知れませんが、かなりの難関であることはお分かりいただけると思います。
私もはじめは「2次試験に落ちてもまだ2回チャンスがあるから」という甘い考えでいたのですが、いざ1次試験に合格するとなんとしても一発合格したくなり、2次試験対策に励みました。
以下時系列で私の対策を書いていきます。
公式の解答は、たしか1次試験の翌日に発表されましたので、当然自己採点をしました。
私は初めての受験だったため問題用紙を持って帰れることを知らず、自分の選んだ解答をマークしていなかったので多少自信のない箇所はありましたが、記憶を頼りに答え合わせをしてみました。
結果、リーディングは35/41(正答率85.3%)、リスニングは22/27(正答率81.4%)でした。
採点ミスをしていたので実際の結果はもう少し良かったのですが、いずれにせよ「この成績なら、ライティングの成績は分からないが合格している可能性が高い。どちらにせよいつかは2次試験を受験するんだから、2次試験の内容調査をしながら準備を始めよう」と思い、動き出しました。
具体的には、「英検1級を受験しようかなあ」とぼんやり思い始めた1年前に買ってそのまま眠っていた、「英検1級面接大特訓」を引っ張り出しました。
この「英検1級面接大特訓」は、英検1級ホルダーなら誰しも勧める名著です。
この本が優れているのは、英検1級2次試験のトピックとしてよく出題されるジャンルを、政治/経済/教育/医療/科学/環境/文化・スポーツ・レジャー/家庭・高齢化/メディアの9つに分類し、その9つのジャンルのそれぞれにおける様々な論点、また実際のスピーチ例とその添削まで書いてくれていることです。
さらに、巻頭にはその各ジャンルの論点をフローチャートでまとめたものや、スピーチで使えるテンプレート的な暗唱用例文が54文ついています。
私は、自己採点が終わってからまずこの暗唱用例文54文を暗唱する練習に取り掛かりました。
合格発表が正式になされたのは、1次試験本番から2週間後の月曜日でした。
結果は、リーディング・リスニング共に自己採点をやや上回り、ライティングはなんとほぼ満点でした。
正式に1次試験合格が決まったので、2次試験本番まで4週間、以下のような戦略を立てました。
1週目 | 例文暗唱&オンライン英会話体験 | 引き続き例文暗唱をしながら、いくつかオンライン英会話の無料体験をする。 |
2週目 | スピーチ原稿作成 | 「英検1級面接大特訓」から自分の得意分野を絞って、関連トピックのスピーチ原稿を複数作る。 |
3週目 | オンライン英会話&暗唱 | 自分で作成した原稿の暗唱をしていく傍ら、対面で英語を話せるようにオンライン英会話で鍛える。 |
4週目 | オンライン英会話&暗唱 | 自分の暗唱した文章の組み合わせを変えられるようにしておく。オンライン英会話で実戦経験を積む。 |
はじめは「合格したらラッキー」ぐらいで受け始めたのに、この頃は「絶対一発合格してやる!」と燃えていました。数日後人生初めてのオンライン英会話で苦渋を舐めるとも知らずに…。
留学経験もない純ジャパの私は、スピーキングに苦労することは分かっていたので、「実戦に勝るものなし!」とばかりにオンライン英会話の無料体験をいくつか始めてみました。
私が試してみたのは
の3つです。
Camblyもダウンロードしましたが、当時の私は「15分間とは言えフリートークはハードルが高すぎる!」と思い、結局使わず仕舞いでした。
Native CampとEnglish Centralでレベルチェック・テストというのを受けたところ、どちらも「中の上」レベルという判定をもらったので、「結構いけるかもしれない!」とこの時は思いました。
しかし、唯一「英検1級面接対策講座」を開講していたValue Englishで体験したところ…ボコボコにされました。
Value Englishでは、実際の英検1級の模擬形式をお願いしたのですが、トピック5題のうち「これはいけそうだ」と思ったトピックを選んだものの、自分の意見を表現する適切な英語が出てこなかったため、ほぼ「ア〜」とか「ウ〜」とか言いながら2分が終わってしまいました。
「やはり、英検1級の壁は甘くない!これはしっかり準備して行かなきゃダメだ!」と自分の立ち位置が分かった私は、本格的な2次試験対策を始めたのでした。
英検1級2次試験の最大の難関と言えば、何と言っても2分間スピーチです。
当日与えられる5つのトピックから1つ選び、即興で2分間スピーチをしなければなりません。もちろん英語でです。
ライティングと同じで、
Introduction(序論)→Main Body(本論)→Conclusion(結論)
という構成を取るのが一般的です。
特にこの構成でなくても大丈夫だと言われますが、よほどスピーキングに慣れている人でない限り、ある程度“型(テンプレート)”に沿っておいた方が本番も安心できるでしょう。
即興で2分間スピーチって…。トピックは当日まで分からないんですよね?しかも社会問題とかでしょ?日本語でスピーチするのも難しいのに。ハードル高すぎ…。
本当にハードル高いですよね。しかもスピーチの後には質疑応答もありますから、とにかくスピーチができないと何も始まらないんです。だからしっかりと準備ができていないと、何も話せず沈黙で終わる場合もあるわけです。
「とにかくスピーチができるようにならなければならない!でも英検1級のトピックに即興で答えるなんてできるはずがない!」
そんな私が取った作戦は以下の通りです。
そもそもとっさに英文を口から出せないのが最大の問題だったので、まずは原稿作成から始めました。ライティングなら落ち着いて正確な英文が書けますし、まずはそれを暗唱しようと思いました。
スピーチは暗唱しても、そのトピックがずばり出なきゃ使い物にならないから、あまり意味がないんじゃ?
それが、実はそうでもないことが後になってわかるのですが、とにかくこの時点においては英語を話したこともない私からすると、自分の意見をある程度まとまった形で口から出す練習をする必要があったのです。
確かに、スピーチまるまるを暗唱してもそのままは使えないと思います。
しかし、一つのトピックに対して提示する意見(Main Body)は複数個存在する訳で、その一つ一つのピースは組み合わせ次第で色んなお題に使えたりするんですよね。
感覚としては、
「ファッションが全く分からない人がマネキン買いをいくつかした上で、トップスやボトムスといったそれぞれのアイテムを組み合わせて、別のコーディネートを作る」
といった感じです。
英検1級2次試験面接のスピーチで渡されるトピックは5題。そのうち自分の得意な分野のトピックに関してスピーチする訳ですが、全ての分野に対応する必要はないので、自分の得意な分野を3つ〜5つほど絞って、それぞれの分野に関して複数の原稿を作成・暗唱する、という作戦に出ました。
「英検1級面接大特訓」の9つのジャンルを吟味し、最終的に
「政治」「教育」「家庭・高齢化」「科学」
の4つに絞りました。
「政治」はどちらかと言うと苦手な分野でしたが、最も出題頻度が高いので、保険で押さえることにしました。
私の場合、もちろん「教育」を得意分野として選んだ訳ですが、「教育」って結構他の分野ともつながっていくんですよね。
たとえば、
「教育」+「家族」=「学校教育をやめ自宅学習を推進すべきか」
「教育」+「科学」=「子供にネット利用をどこまで許すべきか」
といった具合です。
なので、2分間のスピーチを組み立てやすい、ということもさることながら、そのトピックに関する質疑応答にも広げて行きやすい、という利点がありました。
そんなこんなで用意した原稿は、全部で30本になりました。
30本も原稿を暗唱できるようになると、「あれ?このトピックなら、さっき使ったボディも入れられるな」とか「このボディとあのボディを組み合わせたらまた別のスピーチが1本できるな」といった具合で、かなりアドリブが効くことが分かってきました。
「内容を詳しく見たい!」という方がいれば(そんな人いるか!?)、以下をご覧ください。私が書いた原稿30本全て掲載しておきます。
私の場合、とにかく「英語を口から出す」という経験が圧倒的に足りていなかったので、スピーチ原稿の暗唱だけでは質疑応答に対応できないという不安がありました。
そうした状況を察した妻がある提案をしてくれました。
「妻が即興でお題を出し、それについて英語で説明する」
という練習です。
これは、とにかく英語を口から出す、英語脳で思考する、瞬発力を上げる、という練習ができるという点で、質疑応答対策に非常に有効であると感じました。
ということで、英語が話せない妻に面接官を頼み模擬面接をするという練習を毎日しました。
はじめは私が暗唱していた原稿のトピックを妻がランダムで選び、私が2分間でスピーチをするという練習。
それが終わった後に、妻からの即興質問がありました。
「ドラえもんについて説明してください」
「アンパンマンについて説明してください」
「桃太郎について説明してください」
といったものでしたが、後々考えるとこれが中々役に立ちました。
「自分がもともと知っている情報を即興で英語で説明する」というのは、自分の意見を瞬発的に英語にする必要がある質疑応答に正に打ってつけだったのです。また、「説明しなさい」というお題だと、職業柄「説明する順番」も考えるので、論理的思考を鍛える意味でも有効だったと思います。
いくつか体験したオンライン英会話ですが、結局Value Englishで正式に講座申し込みしました。
「英検1級面接対策講座」を開講しているところが他になかったことと、Value Englishは担任制で講師が変わらないということが選ぶ決め手となりました。講師はもちろん体験授業で教えてくれた方を指名しました。
2週間の間に4回ほど講座を受講しましたが、原稿暗唱と即興スピーチ練習のおかげで日に日に上達を感じられました。
初めての体験授業では2分間唸っていただけでしたが、慣れてくると2分以内にちゃんと「Introduction→Body×2→Conclusion」でスピーチできるようになりました。
また、複数の原稿暗唱をしたことで、英語で表現できる意見を多数持てるようになっていたので、質疑応答にも対応できるようになりました。
何よりも、講師と意思疎通するのに英語を使用していくうちに英語を話すことに対するハードルが下がったことも大きかったと思います。
最後の週は、オンライン英会話をしつつ、空いている時間はとにかく暗唱原稿を忘れないように、何度も声が枯れるほど暗唱しました。さらに、通勤の行き帰りでも歩きながら、電車に乗りながら、ずっと脳内で暗唱していました。