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英文法をやり直したい!〜英検1級TOEIC満点講師が伝授する英文法学習法〜

「英文法をいちからやり直したい!」

「でも学生の時から一切英語に触れていない」

「何から始めたらいいか分からない」

「っていうか、文法って必要?」

このような悩みを抱えていませんか?

どうも、You先生です。ここでは、英検1級一発合格TOEIC990満点予備校講師の私が、いちから英文法をやり直す学習法をシェアします。

このブログを読めば、英文法をどのように学習していったらいいか、どうすれば効率よく文法の力を伸ばせるかが分かります。

私自身の学習体験と、長年に亘る生徒指導経験から得られた文法学習法ですので、安心して読み進めてください。

それでは、始めましょう。

ネイティブは英文法なんて意識していない?

「文法」って聞くとなんだか大学入試みたいで…。そもそも文法っているんですか?だってネイティブ・スピーカーは文法なんか意識せずに話してるでしょ?

それよく言われるんですが、残念ながらネイティブ・スピーカーも文法を使っています。無意識に運用できるぐらいに習得しているから意識していないだけなのです。

したがって、文法は絶対的に必要です。

私たち日本人も日本語を話すときは特に文法を意識していませんが、正しい文法に則って話しています。意識はしていなくても、幼少期から知らず知らずのうちに文法という“ルール”を身につけてきたからです。

英語話者も同じです。「ネイティブ・スピーカーは文法なんて意識していない」と言っても、ネイティブに英文法のテストを解いてもらったらほぼ全問正解になります。それは彼らが無意識のうちに身につけた英文法という“ルール”に照らし合わせることができるからです。

従来の英語教育に対する反発から“文法訳読”の指導そのものが蔑ろにされがちな昨今の風潮ですが、非常に危険な傾向であると思います。文法を無視して英語学習を進めると、4技能全ての成長に悪影響を与えることになります。

文法なんか考えなくても、会話してたら何となく身につくでしょ?逆に文法ばっか学んでても日本人は英語を話せないじゃない?

この批判もよく聞かれることですが、日本人が英語を話せないのは文法の指導が間違っているからではなく、単純に「話す」という訓練をしていないからです。

「とにかく話していたら文法もそのうち身につく」という意見も聞かれます。それは確かに事実です。しかし、時間効率は非常に悪いと言わざるを得ません。

文法の学習もなしに実際の会話だけを通して正しく話せるようになるためには、24時間英語に触れる環境に身を置いて、それこそ年単位で時間をかけなければなりません。

今、「英語学習をやり直そう」とする皆さんにとってそんな時間の余裕はないのではないでしょうか?

ネイティブが膨大な時間をかけて無意識で身につけてきたルールを、非ネイティブが短時間で習得するために絶対的に必要なもの。それが「文法」なのです。

文法は絶対的に必要ですし、むしろ効率よく英語を身につけていく最短ルートです。安心して文法学習に励んで行きましょう。

知識を区別しよう

突然ですが、「英文法」と聞いて思い付く単元を挙げてもらってもいいですか?

ええっと…。本当に学生時代から英語に触れていないので簡単に思い付きませんが…。

「関係代名詞」とか「不定詞」とかですかね?

そうですね。これから英文法を学習する上で、この「単元名」というのが非常に重要になるのだ、と思っておいてください。

英単語の暗記法でも述べましたが、人間は“意味”のない情報は覚えられません。

英文法の学習では、習得すべき非常に膨大な量の知識があるわけですが、ただ闇雲に暗記しようと思っても、“意味”なく詰め込んでいくとすぐにパンクしてしまい、全く覚えられず結局挫折することになります。

それでは、どのようにしたら“意味”を付与しながら文法知識を習得していけるのか?

それは、「知識を区別していくこと」です。

例えば、英語を勉強している時に、「ええっと、Xの値はXイコール2a分の…」なんて考えませんよね?

なに言ってんですか?それは数学で出てくる解の公式ですよね?そんなの考えるわけないじゃないですか。当たり前でしょ?

そうなんです。当たり前のことなんです。

それは、「数学」という知識と「英語」という知識はしっかり「区別」できているからです。

しかし、「英語」という範囲の中になると途端に「区別」ができなくなってきて「あれ?これはwhoだっけ、whichだっけ?」とか「ここはto doじゃなくてdoingだっけ?」と混乱してしまうことってよくあるのではないでしょうか?

こうした混乱を防ぐための「区別」として必要なのが「単元名」なのです。

文法用語を聞いただけで拒否反応が出る人もいますが、どの文法書でも目次に掲げられている「不定詞」や「関係代名詞」といった「単元名」は知識を区別し、効率よく身につけるための“ツール”だと思って下さい。

文法用語を闇雲に覚える必要はないですが、自分が学んでいる知識を体系的に区別していくことは学習の基本です。感覚的にでも区別できるようにしましょう。

全体像を知る

知識を区別することが重要だと述べましたが、ただ区別するだけでもあまり意味はありません。今度は、その区別した知識を整理整頓して体系化させる必要があります。

どうすれば区別した知識を体系化できるのでしょうか?

例えば、今あなたはDIYで本棚を作ろうとしているとしましょう。どんな本棚にしようかと考えて、

「全体的な大きさはこれぐらいかな?」

「何段の本棚にしよう?縦に2列で、横に3段作ろうかな?」

といった具合に、まずは全体の大きさを確定させ、それからその中にいくつの仕切りを作るのか、またその一つ一つの仕切りの大きさや配置をどのようにするのか考えると思います。

そうして完成した本棚の各仕切りの中に本を詰めていくことでしょう。

英文法の学習もこの“本棚作り”と同じです。

まず、自分の頭の中に「英文法」という大きな本棚を用意します。そしてその本棚の中に「不定詞」や「関係代名詞」といった名称がついている「仕切り部屋」をどんどん作っていくのです。その上で、その仕切り部屋に本を詰めていくように、各単元の知識を入れていきます。

このように学習を進めていくと、新たに学ぶ知識が乱雑に混同することなくしっかりと「区別」していけるので、自分にとって“意味”のある情報になりやすく、忘れにくい記憶へと変容していきます。

それでは、英文法の知識全体をどのように整理すれば良いかを以下でお教えします。

英文法の全体像

どんな英語の先生でも、どんな文法書でも、「英文法」と言えば必ず意識している全体像があります。学習する側もこの全体像を常に意識して知識を「区別」し、「整理」していけば、非常に効率よく文法知識が身についていきます。

以下が英文法の全体像です。

カテゴリー概要各単元
第1カテゴリー動詞周辺文型
時制
助動詞
受動態
(仮定法)
第2カテゴリー準動詞不定詞
動名詞
分詞
第3カテゴリーその他文法事項比較
関係詞
(仮定法)
否定、強調など
第4カテゴリー語法名詞
形容詞
副詞など各品詞の語法

第1カテゴリーは「動詞周辺」です。

動詞によって決まっていく「文型」、動詞を変化させていく「時制」「受動態」、動詞に新たな意味を付加する「助動詞」。

動詞は英語全体の中でも最も重要なので、まずはこの動詞周辺を徹底して学びます。

ちなみに仮定法は、高校範囲であるため第3カテゴリーに入れられることも多いのですが、動詞を変化させ助動詞を用いることから第1カテゴリーに入れられることもあります。

第2カテゴリーは「準動詞」です。

動詞が入っているんだけど動詞ではない、そんな“動詞に準ずるもの”である「不定詞(to do)」「動名詞(doing)」「分詞(doing/done)」をここでは学びます。

動詞を学んでおかなければ理解できないことも多いので、第2カテゴリーに配置されています。

第3カテゴリーは「その他文法事項」です。

なんともざっくりした括りですが、第2カテゴリーまでで「動詞」を中心とした範囲が終わったので、言ってみれば“動詞以外”にまつわる範囲がこの第3カテゴリーです。

しかし「その他」だからどうでもいいというわけではなく、ここでは「比較」「関係詞」「否定」「強調」など、試験でも頻出の事項が目白押しです。(上述のように、ここに仮定法を含める場合もあります)

そして最後に第4カテゴリー「語法」です。

実は「文法=文のルール」は第3カテゴリーまでで終了です。第4カテゴリーは「語法=単語のルール」を扱います。例えば、

「suchを使うときはsuch a beautiful flower、soを使うときはso beautiful a flowerという風に冠詞の位置が変わります」

といったような、名詞や形容詞や副詞といった各品詞にまつわる、単語のルールを学んでいきます。

以上が英文法・語法の全体像です。

文法を学習する際はこの全体像に則って、まず自分の頭の本棚の中に大きな4つの部屋(カテゴリー)を用意します。その各部屋に「動詞周辺」「準動詞」といったラベルを貼って下さい。そしてその各部屋の中にまた複数の小部屋(各単元)を作ってから、その小部屋の中に細かな文法知識を入れていく、という感覚で勉強を進めていくのです。

文法の学習は膨大なので、つい「今自分は何を学んでいるのか」が分からなくなって知識が全く定着しないという、まるで終わりのない迷路に迷い込んだかのような感覚になってしまいます。

しかし、以上のような全体像を常に意識して学習していくと、上空から俯瞰しながら迷路を進んでいくように円滑に進むことができます。

次は、実践編です。具体的にどのように文法の学習を進めていくのかをお教えします。

文法理論を理解する

「いちから文法をやり直したい!」という場合は、最低2冊参考書を用意しましょう。

1冊は文法理論を詳しく説明している「解説書」。もう1冊は単元別に問題を収録している「問題集」です。

「習うより慣れろ」という言葉がありますが、文法を身につける際はすでに述べたように、まず「習ってから慣れる」方が圧倒的に効率がいいです。

そのためにまず、文法の各単元を詳細かつ分かりやすく説明している「解説書」を読みます。その際も、目次に注意して知識を「区別」「整理」しながら読み進めましょう。

私がオススメする「解説書」は以下のEverGreenという文法書です。かなり分厚いので圧倒されるかもしれませんが、レイアウトが見やすく説明も詳しいので、いちから文法をやり直すにはうってつけの教材です。

問題集で実戦演習

理論が理解できたら、問題集で実戦的に演習します。

目安は、「時制」や「不定詞」といった一つの単元の理論を全部読み切った後に問題集に取り掛かるといいと思います。

解説書を一通り読めて理解はできたんだけど、問題を解こうと思ったら全然分かりません…。

「理解できた」と「解ける」は別物なので、もちろんそうだと思います。でも、落ち込まなくても大丈夫です。

基本的に「問題集は複数回解く」と思っておいて下さい。

そして、解説書を読んだ後に解く“1回目”はすぐには解けないのは当たり前なので、まずは「学んだ知識がどのように問われるのか」という市場調査だと思ってください。

文法の問題集というと、基本的には4択の空所補充問題が一般的だと思いますが、具体的には以下の手順で取り組みましょう。

  1. まず普通に解いてみる。分からないながらも考えて。
  2. 答えと解説を見る。1問ごとに見ても可。
  3. その問題がどの知識を問うているのかを「解説書」と照らし合わせる。
  4. 再度問題を見て、「解説書」に書かれた知識をどう活用すれば正解できるかを考える。

以上の取り組みを行うと、「解説書」を読んでいるだけでは気付かなかった、知識の「高低差」が分かってきます。「高低差」とは「この知識は重要度が高い、この知識はさほどでもない」という重要度の「高低差」です。

こうした「高低差」がはっきりしてくると、自分の脳内の知識がより実践的に整理されてきます。

復習の方法

「問題集を解いて解説を読んで、解説書と照らし合わせる」

この一連の流れで復習する際にしておきたいことを挙げておきます。

①「解説書」に書き込んでいく。

問題集で学んだ知識や、自分なりに知識を整頓するコツなどを思い付いた場合は、「解説書」にどんどん書き込んでいくことをオススメします。

こうしていくと、関連知識がどんどん増えていき、自分だけの最高の参考書が完成します。「解説書」ははじめから目次で知識がしっかりと分割されているので、そこに書き込むことで知識を区別しながら効率よく増やせるという利点があります。

反面、問題集は複数回解くことを前提としているので、問題が書かれているページにはできるだけ書き込まないようにしましょう。

②問題集の解き直し

「解説書」で知識の高低差が分かり再度知識を整理し直したら、問題集の解き直しを行います。ただし、あまり期間を開けずにやると解答を覚えている場合があるので、少し期間は開けましょう。

問題を解き直す際、「解説書」で自分が整理した知識に照らし合わせて、正しい根拠を持って正解を選べればクリアです。

間違ってしまった場合は、「自分は何を理解できていないのか」「正解に必要な知識は何か」を分析し、再度知識を整理しましょう。

重要なのは「解けたか解けなかったか」よりもむしろ、「次に似たような問題に遭遇した時に確実に正答を選べるか」ということです。

したがって、解き直し・復習をする際は、常に「どうすれば正解できるか」を強く意識して学習に取り組みましょう。

知識の整理が進んできた場合や、解答を覚えてしまった場合は、「間違っている選択肢がなぜ間違いになるのか」という検討もするようにすると、知識の「区別」が進みます。

単元別学習が終わったら

文法の単元別学習が全て終わり知識もある程度整理がついたら、いよいよ実戦的な学習に移ります。

ここからは自分が何を目指したいのかによって分岐していくと思います。以下に例を挙げておきます。

希望進路学習法
TOEICのスコアアップをしたい。TOEIC公式問題集のPart5を使って演習・復習を繰り返す。
マーク式の難関大を目指したい。単元別に分かれていない文法全範囲のランダム問題集で演習・復習を繰り返す。
英作文が課される大学を受験したい。まずは単元別の和文英訳からはじめ、知識の復習と整理をしながら徐々に実戦的な英訳問題に移る。

どの方向に進むにしても、基本は「演習→復習」の流れですが、「試験本番でどうすれば正答できるか、どうすれば正しい英文が書けるか」という逆算方式で勉強することを常に心掛けましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか?再度、文法学習についてまとめておきます。

  1. 全体像を意識する。
  2. 理論書を読んで理解する。
  3. 問題集を使ってまずは「市場調査」。
  4. 理論書に戻って再度知識の整理
  5. もう一度問題集を解く
  6. 「どうすれば正解できるか」を常に考える。

英文法をいちからやり直すとなると、確かにかなりの覚悟と相当な学習時間が必要となりますが、ここをしっかりと身につけておくと、その知識は一生ものとなり、リーディング・リスニング・ライティング・スピーキングといった4技能全ての根幹となっていきます。

つまり、文法さえ身につければ英語学習は無限の可能性が開けてくるのです。

「映画を字幕なしで見てみたい」

「他国の人と英語でペラペラ意思疎通したい」

そんな願いを叶える第一歩は文法の学習です。少しずつでもいいので、ぜひ一歩一歩着実に進んでいきましょう。

You先生

昭和生まれで純ジャパの現役予備校講師。かつては苦手だったリスニングとスピーキングを克服し、英検1級一発合格・TOEIC990点満点取得。