「TOEICはいつも時間切れ」
「入試の英文は時間が足りないから部分的にしか読んでいない」
「英語の長文を速く読めるようになりたい」
こんな悩みを抱えていませんか?
どうも、You先生です。英検1級一発合格・TOEIC990の現役講師である私が、速読できるようになる勉強法を伝授します。
なかなかの文章量になってしまいましたが、このブログに書いてあることを実践すれば必ず速読できるようになります。それは、私自身の体験と私の教え子たちが証明してくれています。
ちなみに私の読解速度は、センター試験であれば30分、TOEICのリーディングセクションであれば60分で、1語余さず隅から隅まで読んで解き切ることができる速度です。
なにを持って「速読」と言うのかはひとそれぞれだとは思いますが、一つの指標として、wpmというものがよく使われます。
wpmとは”words per minute”の略で、1分間に読める単語数を指します。
英語のニュースでネイティブのアナウンサーが話す速度は約180wpm、普通の会話が約180〜200wpmと言われています。
それでは、大学入試やTOEICを時間以内に解き切るのに、どれほどの速度が必要なのでしょうか?
以下がその目安となります。
高校生の平均 | 75wpm |
センター試験 | 120wpm |
英検1級 | 140wpm |
TOEICリーディング | 150wpm |
TOEICは大部分の人が時間内に解き切ることができないと言われていますので、このブログでは、「速読」=150wpm以上という定義をしたいと思います。
wpmは、“英文の総語数÷読むのにかかった分数”という単純な計算式で出せるので、普段読む練習をする時にご自分の読解速度も測ってみてください。
ちなみに、私は250〜280wpmです。留学経験もESSに所属していた経験もない、いわゆる「純ジャパ」というやつですが、そんな私でもこのブログに書いてある方法でこの速度に到達できました。
読解に時間がかかってしまう人はこんな特徴があります。
「知っている単語の意味をなんとなくつなげて文を理解している(気になっている)」
このような特徴を持つ人は、以下の現象で悩まされることが多いと言えます。
「知らない単語が増えてくると全く歯が立たなくなる」
「読めたと思っていたのに、全訳を読んだら意味が全く違った」
「意味がうまくつながらなくて何度も返り読みをしてしまう」
こうした現象には様々な要因がありますが、大別すると以下の通りになると思います。
単語・熟語に関しては暗記して知識を増やせます。また、ある程度の語彙力を身につけ、正しい読解技術を訓練しておけばある程度の単語はほぼ的確に推測できるようになってきます。
問題は、「英文内の意味の区切りが分からない」や「英文内の意味のかたまり同士のつながりが分からない」といった、英文構造が分からない場合や、そもそも文章の意味が分からない場合です。
こうした問題を解決するために、どのような勉強をしていけばよいのでしょうか?
う〜ん…とにかくいっぱい英文を読めばいいんじゃないかな?
いわゆる「多読(Extensive Reading)」というやつですね。私は、速読ができなくて困っている人がやるべきことは実は多読ではないと思っています。
想像してみて下さい。
泳ぐのが苦手な人が、「とにかくいっぱい泳ぐ練習さえすれば泳げるようになるのだ!」と頑なに信じて毎日たくさん泳ぐ練習をするとします。
確かに泳げるようにはなるでしょう。しかし「速く泳げるか?」は別問題です。もしかすると体を痛めてしまうような間違った泳ぎ方になってしまっているかもしれません。
多読もこれと同じで、「とにかく英文を大量に読めば速くなる」というわけではありません。むしろ、間違った読み方が癖になってしまって、リーディング以外の他の3技能(リスニング・ライティング・スピーキング)にも悪影響を及ぼす可能性があります。
でも、いっぱい英文を読めばなんとなく“英文のルール”みたいなものが分かってくるから、読むスピードも上がるんじゃないの?
確かにそういった面もあるでしょうが、たとえそうであっても、その成長速度は決して速いとは言えないでしょう。
多読とは本来、自分のレベルに合わない英文ではなく、自分がストレスなく読める英文を大量に読むことを通して少しずつレベルを上げていく、という学習法です。
しかし、自分のレベルに合わせたところから始めて、大学入試やTOEIC等の英文を難なく読めるレベルまで引き上げるのに、一体何十冊・何百冊の本を読めばいいのでしょうか?
「時間が有り余るほどある」「英語の勉強だけしていればいい」という人であれば特に問題はないでしょうが、限られた時間の中で英語学習に励む人からすると、そんなに悠長なことは言っていられないのではないかと考えます。
私は職業柄、指導する生徒を限られた時間で志望大学の水準まで引き上げることを要求されますが、ある一定の水準に達していない生徒には「とにかく多読しなさい」という指導は決してしません。
逆にちゃんと読解の技術が身についた上での多読は英語力向上に有効であると考えます。
知ってますよ!語学には音読が必須なんですよね?音読はリーディングだけじゃなくて他の技能も伸ばす万能の勉強法だとどこかで読みました!
残念ながら、「音読は万能ではない」というのが私の見解です。
昨今の英語学習界隈を見ていると、「音読は最強!語学の基本!」といった論調が大勢を占めているようです。
もちろん音読の利点は否定しませんが、「速読」ということになると音読は決して効果があるとは言い切れず、むしろ弊害にさえなり得ると考えます。
音読は、「実際に英語を発声することで発音の練習になる」という点で、スピーキングには有効だと思います。
しかし、「音読をすることで意味のかたまりや区切れが分かってくるから読むのも速くなる!」という意見には首肯しかねます。
意味のかたまりや区切れが分かってくるのは別の要因であって、音読の効果ではありません。
現に私は冒頭の読解速度を身につけるに当たって音読学習をしたことはありませんし、音読を熱心に頑張っているにも関わらず、読解速度が遅かったり文章理解が乏しい生徒を何人も見てきました。
さらに突っ込んで言うと、音読学習には以下の弊害さえあると言えます。
1と2の弊害には恐らく自覚症状があると思うのでまだ自分でも改善できる可能性はありますが、問題は3と4です。
3に関しては、ちゃんとネイティブ音声をまねて音読する癖を付けておかないと、あとになってとてつもなく後悔することになります。矯正するのに想像もつかないほど多大な労力がかかるか、下手をするともはや矯正できなくなるからです。
実際、英検1級のスピーキングテストでも「発音の点数が飛び抜けて低いために不合格になった」という人もいますし、「TOEICは満点でも英語の発音が悪いために意思疎通に苦労する」という人もいます。
やっぱり英語は話せるようにならなきゃ意味がないし、音読するにはちゃんとネイティブ音声を聞きます。
そうですね。音読をするのはあくまでスピーキングのためなので。
しかし、「スピーキングまでできなくても良い!とにかく速く読めればいいのだ!」という人でも弊害となってくるのは、4です。
日本語の文章を読む時を想像して下さい。
日本語を読む際でも脳内で音声化してしまう人はいると思いますが、集中して読んでいる時や本の内容を深く考えている場合は音声化されていないのではないでしょうか?
音声化をしてしまうと、深い思考をしようとした時にその“音声”が思考の妨げとなってしまい、文章理解に手間取ります。また、音声に復元することで時間短縮にも限界が出てくるので、どうしても時間がかかってしまうのです。
本を読むのが速い人は“音声化”しません。文字の流れから直ちにイメージを受け取り、文章そのものの理解に全神経を集中させていきます。それゆえに速く読めるのです。
このように、母国語を読む時でさえ“音声化”をすると時間がかかるのに、外国語である英語を脳内で“音読”してしまうと余計に文章理解に時間がかかってしまい、結果「読むのが遅い」ということになってしまいます。
なので私は生徒に対しても、音読を否定することはしませんが、積極的に進めることもしません。
正しい発音ができて、黙読時は音声化しない生徒であれば推奨しますが。
「英語を読む際に日本語を介するから読むのが遅くなるんだ!英語を読む時はいちいち日本語に訳してはいけない!英語は英語のまま読め!」
とよく言われます。これは確かにその通りなのですが、初めからそんなことはできません。「英語は英語のままで」とは、しっかりと訓練を重ねていった末にやっとできる芸当なのです。
「appleという単語を見て、いちいち“リンゴ”と訳さなくてもリンゴのイメージは湧くだろう?要はそういうことだ!」と聞いたことがあります。
それはとんでもない理論だと言わざるを得ません。この理論は、appleのような身近でこれまで何度も目にしてきた単語でしか通用しません。例えばprecipitationと聞いてすぐに「降水」というイメージが湧くか、と言うと難しいのではないでしょうか?
appleという単語を聞いていちいち訳さなくてもイメージが湧くのも、初めからできた訳ではないはずです。まずはa,p,p,l,eというアルファベットの並びが「リンゴ」という意味を持っているのだ、ということを「日本語で」理解したのです。その過程をすでに忘れてしまっているから、「英語のままで」理解できているように錯覚しているにすぎません。
その証拠に、manzanaやpommeやapfelbaumという単語を聞いてそのイメージが湧くでしょうか?答えはNoだと思います。
manzanaはスペイン語、pommeはフランス語、apfelbaumはドイツ語ですが、全て「リンゴ」という意味です。にも関わらずこの単語を見て「リンゴ」をイメージできないのは、この単語を「リンゴ」だという”認識”ができていないからです。
「英語は英語のままで」と言われますが、まず大前提として英単語に対するしっかりとした“認識”ができていなければなりません。では、その“認識”をどのように作っていくか。
それは取りも直さず、“母国語”によるしかありません。つまり私たち日本人は、まず「日本語を使って」その単語を“認識”しなければならないのです。
私たちは自覚がないかもしれませんが、母国語である日本語を習得するまでに実は途方もない努力と訓練をしてきています。そして、その過程を通して膨大な量の語彙とイメージを自身の中に形成しているのです。
そうして苦労して身につけた母語を否定し、「英語は英語のままで」を一から形成しようと思ったらどれほどの時間がかかるか想像もつきません。少なくとも自分の年齢と同じ年数はかかることでしょう。
お分かりいただけたでしょうか?
母語を恥じる必要はないのです。まずはしっかり「日本語を使って」しっかりと英単語を理解し認識するところから始めて下さい。その上でしかるべき訓練を経ていけば、必ず「英語を英語のままで」理解・認識できるようになります。逆説的に思えるかもしれませんが、初めはしっかりと日本語を駆使して学習することが、英語上達への近道です。
効率よく速読ができるようになるためにはどうすればよいのか?
それは、精読(Intensive Reading)をすることです。
精読とは、SやVといった文の要素から、句や節といった意味のかたまり、またその修飾関係に至るまで、全てを事細かに分析して読む訓練のことです。それこそ「1語余さず」です。これを「英文解釈」と呼ぶこともあります。
例えば以下の英文を見て意味を明解に取れるでしょうか?
The practice of making e-mail addresses, not phone numbers, public is a result of the acceptance of e-mail as a form of direct contact, even with well-known people we usually couldn’t approach in person.
パッと見たところで困りやすいのはpublicをどう扱うか、even with …以下がどこにつながっていくのか、といったところでしょうか?
この英文は決して難しい単語が使われている訳ではないですが、それでも意味を取りにくいのは、意味の区切りや修飾関係といった、文構造が分からないからです。
文構造をしっかりと把握できるようになるためには、単語・熟語・構文といった暗記知識は元より、文法をしっかり理解し運用できる力がなければなりません。
こうした力がしっかりと身についていれば、先の例文でもmaking e-mail addresses, not phone numbers, publicの部分はmake O C(OをCにする)を形成していると分かるし、even with …以下もdirect contact with O(Oとの直接的接触)というつながりが瞬時に見えてきます。
ちなみに訳例は「電話番号ではなくeメールアドレスを公表するという習慣は、eメールは通常であれば直接接触することができないだろう有名人とでさえも直接連絡を取ることができる一種の方法であると受け入れている結果である」となります。
昨今の「英語教育改革」に伴い、従来の文法訳読の英語教育は批判の対象となり、コミュニケーションが過度に重視される傾向が強くなっています。このために英文読解も「平易な文章を読んで大意が掴めればよい」といったような何ともざっくばらんな指導しかなされていないために、却って読解力が下がったというデータさえあります。
多読や音読といった学習法では速読できるようにならない、あるいは時間がかかり過ぎる、というのは「自分が読めてない箇所を分析する」「なぜその箇所の意味を取りにくいのかを考える」といった、自己分析・自己批判ができないからです。
精読をすれば、「自分の弱点」「理解できていないところ」がたちまち明るみに出ます。単語を知らないのか、文構造が分からないのか、文法事項が身についていないのか。こうした自身の弱点を徹底的に分析し、一つ一つ克服していかなければ、英語力の向上は見込めないのです。
逆に、しっかりとした精読を重ねて鋭い目を養っていくと、初めて見る英文でも瞬時に英文構造を見抜けるようになり、正しく文の意味を紡げるようになるので、結果的に読解速度は上がります。それも劇的に。
「精読は速読とは最も対極に位置する遠回り」であるように思えるかもしれませんが、実はこの最も遠回りに思える方法こそが速読への最短の近道だったのです。
私は受験生の時には「速読」などは考えず「精読」ばかりしていたのですが、知らぬ間に読解速度は爆上がりしていきました。
教え子にも精読を徹底して教えますが、しっかり取り組んだ子は半年ほどで読解速度が上がり始めてきます。
速読するためには精読すればいい、というのは分かりましたが、実際にどうやって勉強を進めればいいんですか?
大まかな流れは、“精読→読み直し”です。
まず、長文読解用の教材を用意します。
「純粋に読解速度だけを上げたい」という場合は特に設問がついていなくても構いませんが、学習を円滑に進めるためには「全訳」はついている方がいいでしょう。
手順は以下の通りです。
以上で「精読」は一旦終了です。
次に「読み直し」を行います。「読み直し」の基本コンセプトは、「単語・熟語や文構造など、分からない箇所は一切ない状態で、英語を英語のまま理解認識できるようになるまで読み直す」ということです。
手順は以下の通りです。
この過程で、CD音源がありなおかつ自分に余裕があるのなら、音読をしてもいいと思います。
この「読み直し」は「精読」の効果を最大限に発揮する、なくてはならない学習手順です。
文章の内容や流れが分かっており、単語や文構造もしっかり分析した英文を何回も読み直していると、まず“意味の区切り(=句と節)”や“修飾関係”が瞬時に見えるようになってきます。
そうなると、語順通りに英文の意味を取っていって、正しく意味をつなぎながら読み進めるということができるようになってきます。
さらにこの過程を繰り返していくと、日本語訳を介さなくても意味のかたまりごとにイメージが湧いてくるようになり、なおかつその意味のかたまり相互の関係性も自然と分かるので、正に「英語は英語のままで」理解できるようになってきます。
これだけやって初めて「英語は英語のままで」理解できるようになるんですね。
そうなんです。まずは日本語を駆使して、徹底した「精読」をやってみてください。その上で何度も何度も「読み直し」をしていくと、初めて「英語を英語のままで」という世界が見えてきます。
「速読をするためには、多読も音読も効率が悪い」
「最も遠回りに思える精読、そして読み直しこそが、速読への近道」
ということがお分かり頂けたでしょうか?
「音読や多読を繰り返すことで英文構造が見えてくる!」という主張もよく聞かれますが、結局こうした人たちも、その過程で必ず「精読」を行なっています。決して「音読」や「多読」そのものが速読につながっているのではないのです。
であるならば、まずは「精読」に集中して、その後音読や多読を取り入れていく方がはるかに効率的です。
文法訳読が諸悪の根源であるかのような扱いを受ける昨今の風潮では、「精読などはもってのほかだ!」という意見が多いでしょうが、現実は逆です。
まずは「精読」を通して英文構造を徹底的に分析する訓練をしておけば、リーディングはもちろんのこと、リスニング・ライティング・スピーキングといった他の3技能も円滑に伸ばしていくことができます。
ある教え子は「大学でTOEFLの英文を読んで大意を述べる課題があったんですけど、周りの友達がみんな読むのが遅くてびっくりしました」と言っていました。彼の大学は毎年5000語を超える英文を入試で出題する大学ですが、その合格者の中でも読解速度が抜きん出ていたのが、精読を徹底して教えたその教え子だったのです。
精読は地道で辛い作業かもしれませんが、必ず読解速度が上がると断言できます。しっかりと取り組んで4技能を向上させていきましょう。