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英単語は書いてはダメ?〜英検1級TOEIC満点講師が伝授する英単語の覚え方〜

英単語ってすぐ忘れてしまうんだけど、何か効率的な覚え方ってあるの?

英語の勉強をしていると誰もがぶつかる壁ですよね。ここでは効率的な英単語の覚え方をお教えします。

どうも、ブログ管理者のYou先生です。

ここでは、英検1級一発合格・TOEIC990の現役予備校講師である私が、記憶のメカニズムまで掘り下げ、私自身の体験や、生徒たちを指導する中で発見した、効率的な単語の暗記法をお教えします。

この記事を読めば、効率よく単語を暗記できるようになり、読めて聞こえて書けて話せる英文がどんどん増えていきます。

それでは見ていきましょう。

単語を忘れるのは当たり前!

単語をどれだけ覚えてもすぐ忘れてしまうんだけど…。僕はきっと暗記が苦手な人間なんだ…。

こんな風に自分を責めて単語の暗記を諦めてしまった経験はないでしょうか?

私はあります笑

しかし、まずしっかりと認識してもらいたいのは

「人間は忘れる生き物だ」ということ。

母国語でもない英語の単語、ましてや自分がそれまで知らなかった英単語を覚えるなんて、そんなすぐにできるわけがありません。

「じゃあ、効率よく単語を暗記するなんてウソじゃないか!!」

というお怒りの声が聞こえてきそうですが、まあまあお待ち下さい笑

まずは「人間は忘れる生き物なのだ」というこの当たり前の事実をしっかりと受け止めた上でないと、効率的に単語を暗記するということができないのです。

つまり、「なぜ忘れてしまうのか?」という人間の仕組みについて理解しなければ、「単語を暗記してもすぐ忘れてしまう」ということになってしまいます。

人間の記憶の仕組み

早速ですが、あなたは4日前に食べたお昼ご飯を覚えているでしょうか?

え?そんなの覚えてませんけど…。

そうですよね。私も覚えていません笑

でも、この質問ならどうでしょう?

「あなたが、これまで生きてきた中で、最もおいしいと感じた料理を思い出してください」

いかがでしょうか?この質問であれば、いつ、どこで、誰と、どんな料理で、どんな味で、どんな点をおいしいと思ったのか、非常に詳細かつ鮮明に思い出せると思います。

では、“4日前のお昼ご飯”と“生涯で最もおいしかった料理”の違いは何なのでしょうか?

それは“意味”です。

人間の脳は非常に優秀で、視覚や聴覚といった五感を通して入ってくる情報は“全て”、一旦は脳の「短期記憶」という部屋に入るそうです。

しかし、自分にとって必要のない情報はどんどん捨てられていくので忘れていきます。反面、自分にとって“意味”のある情報は必要なものとして「長期記憶」という部屋に送られます。

これが”4日前のお昼ご飯”と”生涯で最もおいしかった料理”の違いです。

“4日前のお昼ご飯”は自分にとって特に意味はないのですぐ忘れてしまったのです。しかし、”生涯で最もおいしかった料理”というのは自分にとって大きな“意味”を持つものであり、あわよくばもう一度食べたい、だから忘れてはいけない、忘れられない情報なので「長期記憶」に保存されており、いつでも思い出すことができるのです。

単語の暗記にも同じことが言えます。単語をすぐ忘れてしまうのは、自分にとって“意味”がないからです。逆に言うと、単語を“意味あるもの”に変えれば覚えることができる、ということになります。

単語は書いても覚えられない

小学校や中学校で、「間違った単語×100回書き取り」なんて課題を出された経験はないでしょうか?

単語は書いて覚えなさい!と言われてきたのですが…。

確かに書く行為は多少の利点があるのですが、「単語を覚える」という目的を達成する上では非効率的であると言わざるを得ません。

その理由は先程も述べたように、単語を書くという行為は自分にとって“意味”がないからです。「単語を書いた」という記憶は残っても、肝心の「自分が書いた単語」については全く覚えられません。

単に「効率が悪い」というだけならまだしも、「単語を書く」という行為は弊害さえもたらしかねません。

それは「自分は勉強した!」と錯覚してしまうことです。

手を動かすと疲れてきますし、時間もかかるので、やり遂げた時にある程度の達成感があります。しかし、内実は「書いた単語をほとんど覚えていない」という結果になるのがほとんどなので、これほど非効率的なことはないですし、勉強というには程遠く、単なる「手の運動」でしかありません。

単語暗記に必要なもう一つの要素

「書いて覚えるな!」って言うけど、実際書いて覚えた単語もあるんですけど!!

その通りです。しかしそれは「書く」ことそのものが有効であるというより、単語を暗記する上で必要な、“意味”以外のもう一つの要素が含まれているからです。

「とにかく書いて覚えなさい!!」という指導の裏には、「実際に手を動かすことで手に覚えさせる」という意図もあるでしょうが、もう一つ、暗記をする上での重要な要素が含まれています。

それは、“繰り返し”です。

人は繰り返し出会うものを覚えていきます。

例えば、毎朝の通勤・通学電車でいつも見かける人の顔って覚えていませんか?特に覚えようと思っていなくても、その人の特徴やその人の乗る車両や並ぶ列の位置など、いつの間にか覚えてしまっていることってあるのではないかと思います。

これはなぜかと言うと、“繰り返し”その人に出会うことによって、無意識的にその人の情報が自分にとって“意味”のあるものだと錯覚されるからです。

「間違った単語を100回書きなさい!」という指導は、100回その単語に出会うことによって脳にその情報を焼き付けることをねらいとしています。

したがって、「間違った単語を100回書く」という作業は完全に間違っている、とは言い難いのですが、この利点を上回る弊害の方が大きいので、単語の暗記としては非効率的であるという結論になります。

じゃあ、結局書いて覚えてもいいの?

「書くのは苦ではない」「有り余るほどの時間がある」「書くだけで勉強したと思い込まない」「確実に単語を覚えられる」という条件を満たせるのであれば、いいと思いますよ。

いや、それはちょっとムリかな…。

他にもたくさんやることがある毎日の中で、勉強に割ける時間は限られていると思います。できれば少しでも効率的な単語暗記をしていきたいですよね。

それでは、具体的にどうしていけばいいのか?

その答えは次です。

単語を暗記していく具体的な勉強方法

再度振り返っておきます。

「人間は忘れる生き物である」

「暗記するには“意味”と“繰り返し”が必要である」

以上の2点を押さえながら、具体的な勉強法を提示すると以下のようになります。

①単語は書かない

基本的に単語を「書く」という行為は時間がかかりすぎるのでしません。「単語のスペルを見て、日本語の意味を見る」のが基本です。

ただし、その際英単語が単なる記号の羅列に見えていては「意味のない」情報となってしまうので、「見る」際にできるだけ「意味付け」をしていきます。

具体的には、“イメージ”と“音声化”です。

例えば、hypothesis「仮説」という単語を覚える際に、まず「“仮説”って何だろう?」と考えてみて、実際にイメージしてみます。そのイメージをhypothesisという10個のアルファベットの並びとリンクさせるのです。

抽象的な単語だとイメージしにくいかもしれませんが、そういう場合は、例えばインターネットで「仮説」と打ち込んで、その画像検索をしてみてください。なんとなくでもイメージが掴めるようになるはずです。

この際に、”音声化“もしていくとより効率的です。hypothesisという単語を見て「仮説」という日本語を見ながら頭の中ではそのイメージを膨らませ、同時に自分の声で発音をしてみるのです。自分で発音するのが難しい場合は、音声CDを聞きながらでもいいと思います。

本当は例文もしっかりと読んでイメージして…というのが理想ですが、とりあえず語彙を増やしたい場合は以上で結構です。

目で見て、耳で聞いて、自分で発声してみて、さらに頭の中でイメージする。

こうすると複数の感覚器官が刺激されることにより、その英単語が自分にとって重要な”意味“を帯びるようになってきます。

また、このように複数の感覚器官を通して単語を覚えると、リーディング時には特に和訳しなくてもイメージがすぐ浮かぶようになりますし、音声を聞き自分で発声することでリスニング、スピーキング力も向上します。

「ただ単語を暗記する」という目的であれば「見る」だけでも十分可能ですが、将来的に4技能をバランスよく伸ばしたい場合はできるだけ他の器官も使いながら単語を覚えていきましょう。

②「繰り返す」ことを意識する

これまで述べたように人間はすぐ忘れます。反面、繰り返し出会うものはその気がなくても覚えてしまいます。したがって、単語をはじめから「覚えよう」とするのではなく、「また出会うから」と気楽な気持ちでどんどん「見て」いって下さい。単語との付き合いも人との付き合いと同じで、“初対面→顔見知り→知人→友人→親友”とクラスチェンジしていけばいいのです。

具体的には、

  1. 覚えたい単語の範囲を決める。(例:単語帳のUnit3)
  2. その範囲の単語を“全て”通して「見る」のを1セットとして、1日最低3回「見る」。
  3. 1日3セットを1週間続ける。
  4. 1週間が終わったら次の範囲に進んでまた1週間繰り返す。

このようにすると、決められた範囲の単語はその1週間で最低21回「見る」ことになります。

ちゃんと“イメージ”と“音声化”も行って21回も見ると、たいていの単語は覚えてしまいます。

ただし、「決められた範囲の単語を全部見る」という作業は、ある程度まとまった時間を費やさなければなりません。単語の範囲を増やしすぎると1セットに時間がかかりすぎて継続できなくなってくるので、1セットに30分、長くても1時間以内に収まるように単語の設定範囲を決めて、とにかく「1日に最低3回」を基準に、繰り返すことを前提として学習計画をしていきましょう。

え?でも1週間頑張ってUnit3を覚えられても、次の週にUnit4入ったらUnit3の単語忘れちゃうんじゃない?

鋭い質問ですね。その通り、人間は忘れる生き物なので、やっぱり忘れます笑。でも、「1週間のうちに21回も出会った」というのは割と強烈な体験なので、忘れにくいのも事実です。

まとめ

これまで述べてきた単語暗記法をまとめます。

  1. 「忘れても仕方ない」という気持ちをスタートにする。
  2. 覚えたい単語の範囲を決める。(通しで30分〜1時間の量)
  3. 「イメージ化」「音声化」を意識して単語を全て「見る」
  4. これを1日3セット行う。(例:朝起きて1回、帰宅時1回、寝る前1回)
  5. 毎日3セットを1週間続ける。
  6. また新たに覚える単語の範囲を決める。
  7. 1日3セットをまた1週間続ける。〜以下繰り返し〜

どうしても期間が空いてしまうと、一度覚えたものでも忘れてしまいます。

でも、それは人間である以上仕方のないことだと開き直って下さい。大事なのは継続することなのです。

どうしても語彙力強化には時間がかかってしまうものですが、通常英語を学習する際は単語の暗記だけをする訳ではないと思います。

長文を読んだり、ニュースなどを聞いたりといった学習をする中でも、覚えた単語は何度となく出てきます。頻繁に使われる単語はその分遭遇確率も高くなる訳ですから、どんどん覚えていきます。

また、ある一定水準の語彙数に達すると、接頭語・接尾語や単語の法則性がある程度分かってきて、未知だと思っていた単語も的確に推測できるようになってきます。

単語の暗記ははじめこそツライ作業ですが、語彙力が強化されると、読める英文、聞ける放送が増えてきて嬉しくなってきますよ。

語学学習とは山登りのようなもので、登っている最中は足元だけ見て苦しい思いばかりが募るかもしれませんが、ふと振り返って見ると素晴らしい景色が眼下に広がっているものです。

コツコツとあきらめずに頑張っていきましょう。

You先生

昭和生まれで純ジャパの現役予備校講師。かつては苦手だったリスニングとスピーキングを克服し、英検1級一発合格・TOEIC990点満点取得。