一発合格者が語る英検1級対策〜2次試験(スピーキング)当日編〜

英検1級

どうも、You先生です。ここでは、留学経験なしの純ジャパで英検1級を一発合格した私の2次試験当日の体験談をシェアしたいと思います。

以下が私の成績です。

スピーキングの点数は、SHORT SPEECH(2分間スピーチ)、INTERACTION(4分間の質疑応答)、GRAMMAR AND VOCABULARY(文法と語彙)、PRONUNCIATION(発音)の4つの項目の合計で決まります。

各項目の素点は10点満点で、面接官2人の合計点で決まります。持ち点はそれぞれ5点で、3が平均です。したがって、面接官が2人とも「こいつは平均だな」と思ったらどちらも3がつくので、素点合計は6点になります。

英検1級2次試験の準備編は以下の記事をご覧ください。

起床〜出発

集合時間は14:00。自宅は13:00に出れば間に合いますが、当日は9:00に起きました。

早起きしてしたかったことは、暗唱したスピーチ原稿の最終チェックでした。

トピックを見ただけでスラスラと意見が言えるか、やはり30本全てを確認しました。

その中で、一つ引っかかるトピックがありました。

そのトピックとは

“Would increasing over-reliance on robots and computers pose a threat to society?(ロボットとコンピュータに対する過剰依存が増すと社会の脅威となり得るか)”

というものでした。

このトピックは、初めてのオンライン対策講座でまるで意見が言えず「あ〜う〜」唸っただけで制限時間が来たという苦い経験をしたトピックとほぼ同じものでした。それだけに感慨深く、直前でも目に留まったのだと思います。

自分のスピーチに若干の弱さを感じた私は、「東大ロボット」のことを思い出しました。

東大ロボット?なんだそれ?

東大ロボは、国立情報学研究所の新井紀子教授が主導したプロジェクトにおいて「AIは東大入試に合格できるか」をテーマに開発されたAIのことです。膨大な大学入試のデータを入力されて東大入試に臨んだ「東ロボくん」は、理数では合格水準に達したものの、読解力を問われる国語と英語では、遂に合格点に達することができませんでした。

詳細は以下のサイトをご覧ください。

ロボットは東大に入れるか。Todai Robot Project

「AIはデータを集積して『それらしい』解を出せるに過ぎず、結局は人類の脅威にはなり得ない」

私はこの実験結果をどうしても入れたくて、直前ながら原稿を作成しました。

あとは、リスニングを磨いておきたいと考え、ポッドキャストの「CNN10」を視聴し、13:00前に家を出ました。

会場到着〜本番直前

会場に到着したのは13:40頃でした。14:00集合予定なので、まずまずの時間です。

受付で携帯電話を入れる袋を受け取ります。スマホの電源を切ってその袋に入れ首から下げました。以後会場内は一切携帯電話を使用できません。

エレベーターに乗って英検1級のフロアに向かいました。他のフロアで別の級の面接もあるようでした。

フロアに着くと、部屋に案内されました。部屋は複数用意されており、基本的に早いもの順。私は2つ目の部屋に通されました。1列に10人座っている中で3列目先頭の席(つまり、2部屋目の21番目)でした。

そのフロア、その教室にいる人たちは当然のことながら、全員が英検1級の2次試験面接受験者なのですが、事前に各種サイトで調査していた事実に反して、意外に若い人たちが多いイメージでした。大学生か、それより上でもおそらくまだ20代後半ぐらいの、特に女性が多かった印象です。

部屋に通されてからは、結構待ち時間があります。先程スマホの電源を切って袋に入れましたが、スマホに限らず一切の電子機器の使用を禁じられます。これも事前に調べていたため、予め用意していた「英検1級面接大特訓」を開いてみました。しかし、案の定あまり頭には入ってきません笑

ちなみに「英検1級面接大特訓」を持っている人は他にもかなりいました。やはり1級受験のバイブルだなぁと実感しました。

集合時間から待つこと1時間10分。15:10頃にお呼びがかかりました。

3人ずつ呼ばれ部屋を出て行きます。私はそのグループの1人目でした。3人連れ立って係の人に付いて行き、待機していたフロアから1つ上のフロアに歩いて登りました。

上階に着くとガランとしたフロアに部屋が3つ。

それぞれの部屋の前にイスが2つずつ用意されており、その2つのうちの片方には、どの部屋の前も、待機している受験生が1人ずつ座っていました。私たち3人はそのそれぞれ待機している受験生の隣に順に誘導されました。1人目(私)は手前の部屋、2人目は奥の部屋、3人目は右の部屋。

私の隣には女性が座っていましたが、その女性は私が席に着くと間もなく部屋の中に呼ばれました。つまり、10分後その女性が出てきた時が私が入る番です。

その女性が座っていた座席に移動し、微かに聞こえる部屋の中のやり取りにソワソワし始めました。

その間に係の人が「面接カードを出してください」と確認に来ました。あとで分かることですが、これは部屋の中でのやり取りを簡略化するためでした。

そして、とうとうお呼びがかかります…。

「どうぞ中にお入り下さい」

2次試験本番①(2分間スピーチ)

ノックして部屋に入ります。

部屋の奥、向かって左にはネイティブの中年男性、右には初老の日本人男性が面接官として鎮座していました。

入ってすぐの右手にはタイムキーパー?の若い男性が控えています。

部屋に入って着席を促されました。

お決まりの自己紹介からスタート。

職業とそれにまつわるちょっとした質問が終わると、流れ作業かのように本番に突入しました。心の準備をする暇もありません笑

「そこにあるトピックカードを表に向けて下さい」

と英語で言われました。

「あれ?Here is your topic card. —Thank you.みたいなやり取りがあるのでは?」

事前情報は当てにならない。トピックカードは試験官から受け取るのではなく、目の前の机に用意されていたのでした…。

トピックカードを表に向ける時、手が震えました。勝負どころではあまり緊張しないタイプなのですが、この時が緊張の最高潮でした。

トピック5題に目を通します。なのに、頭が真っ白で英文が読めない…!!

「自分が得意なトピックはないか?すぐに意見が出せそうなトピックはないか?」

必死で探しました。しかし、焦れば焦るほど英文を読めない…!!!

仕方ないので各トピックのキーワード(特に名詞)に注目して、自分の不得意分野のワードが見えたトピックはパス、得意分野のキーワードが見えたらその文をしっかり読む、という作戦に出ました。

トピック選びで与えられる時間は1分。できれば15秒でトピックを決定し、残り45秒でプロットとボディをある程度固めておきたい…!

「2つぐらいで悩む場合があるかもしれないが、直感で1秒くらいで決めよう、迷っている暇はない!」と、一瞬のうちに覚悟を決め5題のトピックに目を通すと…

あった!!

“4: Would increasing reliance on computers prove harmful in the future?(コンピュータにますます依存すると、将来的に害を及ぼすことになるか)”

なんと!初めてのオンライン英会話でボコボコにされ、試験直前に「東大ロボ」の原稿を加筆した、まさにそのトピックが入っていたのです。

「これしかない!」と考え、事前に練習したスピーチ原稿からボディを思い出す。

「あれ?何だっけ…?」

あれほど練習したはずなのに、ちゃんとボディが思い出せない…!

1分終了。そのままスピーチに突入。

“There have been a lot of discussions and debates about whether or not …”

というお決まりのフレーズで話し始めたものの、少し違和感を抱きながらも”for the following reasons”と最後につけてボディに入る。

話している間、一瞬頭が真っ白になりかけるが、なんとか体裁を繕う。

たしか1点目は、「コンピュータは対人関係を築く時間が減る」と言ったはず。

2つ目のボディは「何だっけ…?」と思いつつ、”Second, …”と口にした瞬間思い出してスラスラ出てきた…!やはり「口に慣らす」練習が生きた!と思いながら「コンピュータに依存しすぎると精神を病む」という研究結果に言及したが、「1点目と内容が重複しているかも!」と思いやっぱりテンパる。

“In conclusion, for the above reasons, …”となんとか結論に入り、「あと少しで終わり」というところで2分間の制限時間が来たことを告げられました。

とっさに話すのを止めたのですが、ネイティブの面接官に「終わらせて」と言われたので、あと10秒ほど話して終了。

2次試験本番②(質疑応答)

冷や汗タラタラで2分間スピーチを終えたと思ったら、息つく間もなく質疑応答に突入です。

「スマホはどう思う?」(ネイティブ試験官)

「スカイプとかで人とつながれるけど?」(日本人試験官)

「AIはどう思う?」(ネイティブ試験官)

「サイバー犯罪どう思う?」(日本人試験官)

オンライン英会話で経験済みの質問ばかりだったので、スピーチよりはいくらか落ち着いて答えられた気がします。

とりあえず短答で終わらないように、“主張→理由”または、“譲歩→主張→理由”という構成を意識して話しました。

基本的に、”Indeed, some people argue that 面接官の主張,but I think that 自分の主張 because 抽象的理由.“で1文目を終え、2文目で具体的理由or補足説明 というテンプレートで答えました。

面接官の主張をそのままリピートするのは、その間に自分の意見をまとめるためです。

この間は、口は自動的に動いていて、頭の中はフル回転です。

ネイティブ試験官に「AIが進歩しているが、人間は仕事を奪われるのでは?」という質問をされた時は、「来た!!」と心の中で叫びました。

正に直前に練習していた「東大ロボ」の話題を出す時…!!

“As is demonstrated in the ‘Todai Robot Project‘, where the researchers investigated whether AI can pass the entrance examination of Tokyo University, AI cannot acquire or develop the reading skills. That is why, at least in the field of education, human teachers are imperative to enable students to develop the reading skills.”(「AIは東京大学の入学試験に合格できるか」を研究者たちが調査した『東大ロボ計画』で実証されたことだが、AIは読解力を身につけることも伸ばすこともできない。だから、少なくとも教育の分野では、生徒に読解力を身につけさせる上で人間の教師は必要不可欠だ。)

という、事前に用意していた原稿内容をほぼ忠実に言うことができました。

ただ、主節(AI cannot acquire …)の前にうっかりbutを入れてしまい、「しまった!」と思ったことを付記しておきます。やっぱりテンパってましたね笑

とにかく面接官の質問に対し、真摯に一貫性を持って答えるんだ!と答え続けていると、タイマーが鳴りました。

ネイティブの面接官が「え?もう終わり?」みたいな反応をタイムキーパーにしていたので、「あ、これは合格したかも」と思えました。

その後は「退室してもいいですよ」と割と淡々と言われ、私の2次試験面接は終わりました。

部屋を出た後は、10分前の私と同じように不安そうな顔で待っている他の受験生を横目にして、帰路に着きました。

2次試験本番のまとめ

最後に、2次試験全体を振り返って思うことを一言で言うと、

「とにかく頭の中は余裕がない!!」

ということです。

まず、2分間スピーチはトピックを選んだ瞬間に始まります。私は模擬試験の時はトピック番号とトピックの英文を読み上げていたのですが、本番ではトピック番号を口にした瞬間に

“OK, go ahead.”

と、トピックを読むのを半ば遮られる形でスピーチを促されました。これは面接官にもよるかもしれませんが、とにかくトピックを選んだらすぐにスピーチが始まるので、冒頭部分は自分が言い慣れたテンプレを持っておいた方が少しでも心が落ち着くと思います。

また、スピーチをしている最中も脳はフル回転です。

頭の中では、

  • スピーチ全体の論理構成(Bodyをいくつ用意するか、順番はどうするか)
  • 各論点で展開すべき意見(Bodyの中身をどう構成するか、表現や内容が重複していないか)
  • 文法に気をつけつつ、後ろに後ろに文を繋げていく頭(ex.関係代名詞の後ろはちゃんと不完全文にできているか、単数・複数のミスはないか等)

を、常に同時進行で考えていたように思います。イメージで例えるなら以下のように、脳内で複数の自分に常に同時に「ワーワー」と責め立てられている感じでした。

頭の中
頭の中

と、とにかく論理に一貫性を持たせて、沈黙を作らないように…

論理構成は大丈夫か?Bodyはどう配置する?その順番でいいのか?

Bodyはその意見で大丈夫?他のBodyと重複してない?展開をどう持っていく?

文法事項はちゃんと意識できてる?時制の一致は?単数・複数区別できてる?3単現のsは?

頭の中は終始こんな感じなので、正直言って発音を気にしている余裕はありませんでした。つまり、余程スピーチや質疑応答の内容に自信がなければ、普段の自分の発音が出てしまうということです。

「ゆっくりと音読したら割と綺麗に発音できるんです!」

などは、本番ではまず通用しません。

街中を何気なく歩いている時に突然外国人にキレ気味で話しかけられて咄嗟に出る英語の発音。それが英検1級2次試験の面接で出る発音です笑。

なので、普段から発音の練習もしっかりやって、LとRの発音や母音の使い分けなどが無意識で出来ていないと、発音の点数が低く出てしまうことになるでしょう。

また質疑応答の際は、「AだからBだからC」のように因果関係が連続する可能性が高いので、「だから」に当たる表現やそれ以外のディスコース・マーカーも複数使いこなせるようにしておかないと話の流れが単調になるなあと思いました。私も当日、単調な論理展開になりそうだと自分でも分かってしまって、少しテンパってしまう場面がありました。

面接官の質問に対して短文回答の連発では稚拙に聞こえてしまうので、できるだけ関係詞や従属接続詞などを意識的に使って、一文一文が長くなるようにしました。

ただし、副詞節を文末ではなく文頭に持ってくるパターンは、副詞節が長くなりすぎた場合「コンマを挟んだだけで主節に入る」というのは心理的にやや戸惑ってしまう(話していると冒頭で発言した従属接続詞の意味を忘れてしまいやすいため)というのも実体験から分かりました。

以上、英検1級2次試験面接時の自身の内的情報をまとめると以下の通りです。

  1. 発音に意識を向けている余裕はないので、普段から発音は無意識でできるレベルまで高めておく。
  2. 発音だけでなく、英語表現も咄嗟に口を突いて出るもので勝負することになるので、普段使う表現は無意識でも口が動くようにしておく。
  3. スピーチや質疑応答の中身に関しても、相当慣れていなければ本番では出てこない。事前に準備をしていても、テンパる時はテンパる。
  4. 質疑応答でされる質問には、答えるべき内容が日本語でパッと出てくるレベルでないと、英語で切り返すのは困難。

他の英検1級合格者の方の声も聞いていると、質問の聞き返しで減点されることはなさそうです。なので、質問内容が聞き取りにくかったり、聞き取れても回答を考えるのに多少なりとも時間稼ぎをしたい場合は、1回か2回ぐらいの聞き返しは有効ではないでしょうか。

とにかく「英語で意思疎通する」というのが最も重要なので、緊張してもとりあえず気力で負けないこと、話しまくることが大事だと思います。

日々の努力が本番で自然と出てきます。正しい努力の先には必ず合格が待っているので、自分を信じて頑張りましょう。私の体験が少しでも参考になりますように。

コメント

タイトルとURLをコピーしました